2004年11月20日に多胡昭彦さん(岡山県津山市)と櫻井幸夫さん(茨城県水戸市)が、とも座(りゅうこつ座)に発見した新星ですが、もともとはどんな星だったのか調べてみました。 下の画像は大増光から1ヶ月も経っていない2004年12月13日の新星です。この時8.3等と、望遠鏡での眼視観測はもちろん、双眼鏡でも観測できるほど明るいです。 |
増光前にこれと同じ場所を写したDSS(Digitized Sky Survey)の画像から新星の周辺を取り出して画像処理し、暗い星を浮かび上がらせたものが下の画像です。 数値はDSSのこの画像を実際に測定したもので、赤経、赤緯、光度です。比較星表はUSNO A2.0を用いました。 この画像に私が写した画像(画像1)を正確に重ねて色をつけたものが画像3です。 |
下の画像は白い星がDSSの画像に写っている星で、中央にある赤いものが大増光した新星です(画像1と画像2の差が赤くなるような画像処理をしています)。 新星の中心付近を目を凝らして見ると2つの小さな恒星がくっつくようにして縦(南北)に並んでいます。画面に近づいてよーーく見てください。上(北)の恒星の方が中心に近いことがわかります。 見やすく拡大したのが画像2です。中心にある星を赤い線で示してあります。 画像1から私が測定した新星の位置は V574 Pup 赤経 07h41m53.58" 赤緯 -27o06'38.3" 赤矢印の星 赤経 07h41m53.60" 赤緯 -27o06'38.7" 赤い矢印で示した星とピッタリ一致しています。ほんのわずかに数値が違いますが、この差は画像1でいうと、わずか1ピクセル(ドット)の6分の1という大変小さな値です。この星が大増光したと考えて良いのではないでしょうか。 |
この恒星の光度をDSSの画像から測定すると18.2等でした(画像2参照)。VSOLJニュースNo.132によると、11月21日に最も明るくなって6.9等と報告されているので、なんと3万倍まで増光したことになります。USNO
A2.0恒星カタログに示されているこの星の赤光度でも17.7等なので、これと比べても1万倍を超えていることになります。想像できますか?褐色矮星のようにほとんど光を失った星が1万倍ならまだ想像もできますが(できない?)、もともと太陽のように活発に光り輝いていた星、つまりただでさえ眩しい星がさらに1万倍とか3万倍とかに光りだしたわけです。いったいこの星で何が起きているのでしょうか。そして、今後どのように変化するのでしょうか。 天文学者たちの研究やアマチュア天文家の観測は続きます。 |
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