彗星観測日誌の最初に戻る

C/2001 Q4(NEAT)

2004年11月29日

 高知市の街明かりと満月近くの強烈な月明かりで尾は写らず。14.6等と暗くなったが、まだまだ観測可能だ。

2004年10月14日

 4ヶ月ぶりの観測。すっかり暗くなり、眼視では観望ができなくなった。それでも13.1等なので「暗い」というのは失礼なのかもしれない。現在北の空、こぐま座にある。北の空は高知市の街明かりが強くかぶってしまう。

2004年06月14日

 どんどん北上し、おおぐま座まで移動しているので宵から夜更けまで観望できる。
 飽和すれすれまで露出をかけてみたが、他の人のようにかっこいい尾が写らない。青感度が低いこのCCDではこれが限界だ。

2004年05月24日

 うーーん、デカイ。画面全体がコマと尾で埋め尽くされている。彗星核の精密測定が結構難しい。重心計算のためにあまり広い範囲を選択すると右側に噴出しているジェットに引っ張られるし、狭くしすぎると明るい部分が広いため重心がふらつくのだ。
 多くの望遠レンズなどで撮影した観賞用写真を見ると気づかないが、核周辺は尾とは逆方向(太陽の方向)に非常に明るいジェットのようなものが吹き出している。今回は焦点距離を短くした1400mmではあるが、冷却CCDカメラの通常モード(いつもの4倍の解像度)で撮像してみた。大望遠鏡にはかなわないな.....。次回は2000mm直焦点で。

彗星核を高解像度撮像して拡大
尾とは逆方向(太陽方向)に物質を吹き出している




ローテーショナルグラディエント処理で
何本にも伸びている尾を強調してみた


ローテーショナルグラディエント処理

2004年05月18日

 "曇り"という天気予報を無視して観測。一瞬の晴れ間をついて撮像した。とりあえず画像のみ掲載。
 左下に向けて針のような鋭い光線が何本か写っている。


2004年05月05日

 北上してきたニート彗星を雲があるながらもどうにか撮像できた。日没後すぐに観測する必要があったので望遠鏡の極軸を合わせる余裕が無かった。本当は冷却CCDカメラでの撮像は時間的に無理と考えていたので、眼視観測のみできれば十分であったが、勤務先から観測地に行く直前に欲が出てきて、急遽家に帰り撮像用のノートパソコンを積み込んだ。
 5月の連休中だったので思ったより早く到着した。まだ明るくて北極星が見えない。北極星が見えるまで待って極軸を合わせたり準備をしていたら西の山に沈んでしまうかもしれないと思い、大体の勘で方角を決めた。いつもこの場所で観測しているので、方位磁針や星が見えなくても、かなり正確に北がわかるのだ。
 機材の準備が終わる頃には金星やシリウス、ベテルギウスなどの明るい星が見えてきた。彗星の方角を向くと、以外に山が低かったのは幸運だった。
 CCDを付けて3点アライメントやっている時間が無いので、接眼レンズを見ながら金星とシリウスで2点アライメントした。その後一気に彗星へ向けて、接眼レンズをのぞくと、視野にいくつかの暗い恒星が見え、その中に比較的明るい4等級くらいの恒星状の天体が目だって見える。この付近には4等級の星は無いようだが....。これが彗星だろうか?
 空を見るとまだ十分高度があるので、CCDでの撮像ができそうだ。しかし、全体の60%ほどに雲があり、彗星のすぐ南の方にも雲が出てきた。
 まず精密位置測定をして報告したかったので、冷却CCDを取り付け撮像してみた。写らない....。極軸を合わせず、2点アライメントでは導入精度が悪かったか?彗星のすぐ近くの1.8等の恒星に向ける。この星でアライメントを取れば正確に彗星に向けることができるはずだ。ファインダーで位置を確認しようとしたが1.8等の恒星が見えない。雲が出てきたのだ。
 日没後のわずかな時間で撮像するのは、移動観測者にとってたくさんの幸運が同時にめぐってこなければならないことを実感する。
 雲は薄そうだったので、露出時間を多めに取ってどうにか1.8等の恒星でアライメントが取れた。この間も南の方から黒い雲が西に向かっていたので絶望的だった。1.8等が雲を通してやっと写るくらいであったが、とにかく彗星に向けてみた。
 彗星は4等級の情報が入っていた。1秒露出で明瞭に写るはずだ。しかし雲を通しているので10秒露出をかけてみた。灰色の画面.....。なーーーんにも写らない。右上に向かって白くかぶっている。土佐市の街明かりが雲に反射しているのだ。絶望的だ。
 雲が薄くなった瞬間に撮り込むしかない。10秒間だけでも雲が薄くなってくれないかと祈るような気持ちで露出を続ける。たった1枚だけで位置測定ができるのに....。
 何枚写しても街明かりが反射した雲しか写らない。10秒露出を10枚,,,、20枚と撮り続ける。
 ダメだ。やっぱり雲が晴れてくれない。雲は薄い感じなのだが.....。
 20分くらい雲を写しつづけた頃、突然右上の画面からはみ出しそうなところに巨大な丸い物体が現れた!!
 おお、ニート彗星だ!!
 ついに捕らえたぞ!!
 2001年以来待ちに待った彗星の姿を遂に捕らえたのだ。
 土佐市の街明かりがかぶっていると思っていたのは、実はニート彗星の強い光が雲を通してちゃんと届いていたのだ。19時48分のことだった。
 その後徐々に雲は薄くなり、山に沈むまでに2秒露出~60秒露出で29枚の画像が得られた。彗星が露出オーバーにならないように時間を切り詰めた。それでも冬の天の川の中でもあり、明るい恒星がいくつか明瞭に写りこんでいる。これなら比較的精度の高い位置測定ができそうだ。
 彗星が沈んだ直後から雲が全体に広がり、観測できる雰囲気ではなくなった。幸運だった。

 画像1が元画像で、核周辺の様子がわかる。西(右)方向(太陽がある方角)に向かってなにかが噴出しているように見える。画像2は同じ画像であるが、尾を強調して画像処理してある。南東(左下)に向かって広い範囲に尾が広がっている。全光度は5.2等と測定したが、雲の影響があり、不正確かもしれない。

(画像1) 未処理の画像


(画像2)尾を強調した画像
    CK01Q040  C2004 05 05.45147 07 10 55.79 -24 50 59.5                      D70
    CK01Q040  C2004 05 05.46840 07 11 07.19 -24 45 48.8                      D70
    CK01Q040  C2004 05 05.47432 07 11 11.20 -24 44 00.3           5.2 T      D70
    CK01Q040  C2004 05 18.46669 08 51 04.87 +27 30 02.5                      D70
    CK01Q040  C2004 05 18.46796 08 51 05.25 +27 30 12.0                      D70
    CK01Q040  C2004 05 18.46883 08 51 05.58 +27 30 18.3           5.6 T      D70
    CK01Q040  C2004 05 24.50802 09 16 09.67 +37 35 13.1                      D70
    CK01Q040  C2004 05 24.51034 09 16 10.11 +37 35 22.9                      D70
    CK01Q040  C2004 05 24.51535 09 16 11.19 +37 35 45.8           6   T      D70
    CK01Q040  C2004 06 14.54153 10 04 53.94 +51 07 09.3                      D70
    CK01Q040  C2004 06 14.54492 10 04 54.25 +51 07 13.1                      D70
    CK01Q040  C2004 06 14.54596 10 04 54.30 +51 07 14.1           7.3 T      D70
    CK01Q040  C2004 10 14.48461 15 16 06.90 +69 08 38.5                      D70
    CK01Q040  C2004 10 14.48719 15 16 07.78 +69 08 39.1                      D70
    CK01Q040  C2004 10 14.48935 15 16 08.30 +69 08 40.3          13.1 T      D70
    CK01Q040  C2004 11 29.58618 19 29 13.94 +66 59 37.4                      D70
    CK01Q040  C2004 11 29.58876 19 29 14.69 +66 59 36.3                      D70
    CK01Q040  C2004 11 29.59281 19 29 15.89 +66 59 34.3          14.6 T      D70

 
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