腹立ち日記 2002

2002 Jan. 11 CCD カメラのトラブル

 冷却水を流すホースとカメラ本体を接続するコネクターからの水漏れに気づいていた。それが先月 12 日頃から激しくなり、代理店である昭和機械に電話したが例によって「担当が海外出張のため不在でおまけに今どこにいるか分からない」だの「CCD カメラのことを分かっている者が今ここにはいない」だので要領を得ない。社員の出張先を知らないような会社があるものか。

 コネクターの故障については心当たりがある。使いはじめた頃、カメラと望遠鏡を接続するアダプターに欠陥があり(ロックピンが短すぎた欠陥については、送り返した現品を見た昭和機械側が認めている)観測中、カメラが二回ほど脱落したことがある。パラレルおよび電源コネクターと水冷ホースのおかげでカメラが床まで落ちたことはなかったが、おそらくこのとき、電源コネクターと循環水コネクターに過負荷がかかったのだろう。カメラの密閉性が悪く、乾燥剤を度々交換せねばならないのも脱落が原因で電源コネクター部分がどうにかなったのだろう。

 さて、こちらは観測ができないのだ。ついにブチ切れ、受付嬢に

「そちらに電話するといつもそう言われる。『折返し電話します』が実行されたことは未だかつてない。天体望遠鏡を作っている会社職員が、国外製品の代理店としてであったとしても(自社製品について、ではないとしても)割高な対価を支払ったユーザーに返答の一つもできないとは何事であるか。出張中の社員の居所が分からないとはこれまたどういうことか?こちらは観測がストップして困っているのだ」

 と大声を出してしまった。

 受付嬢はさすがに驚いた様子で「必ず折返し電話しますからお待ち下さい」という。ちょっと気の毒なことをした。

 30 分ほど後に担当の渡辺氏から国際電話がかかってきた。(ちゃんと居所が分かってるんじゃないか)事情を話すと「至急、コネクターの手配をする。こちらに空冷仕様の同じカメラがあるので明日中に発送するからそれを使って欲しい」との返事で、半信半疑だったが数日後に本当に代替品が届いた。びっくりした。

 その代替品であるが、梱包を解いてみると電源や各種ケーブルなど綺麗に包装されており、まあ、厳重に確認したわけではないが未使用のように思える。12 月 15 日よりそれを使いはじめたところ、画面左上隅にケラレが見える。暗電流が集中する不良ピクセル群がある。画面に妙な皺が写る、等の不良が次々に見つかった。

 これはヤバイと、休んでいる水冷仕様カメラを

「密閉性を充分にして欲しい。水冷はウチでは役に立っていないので場合によっては空冷化をお願いするかも知れない。アドサイエンスの担当者から、メーカーである APOGEE 自身が『AP-7p は設計どおりの性能が出ていないので、積極的に販売することを控え、代わりに AP-47p を出した』と聞いた。その話が本当ならば、こちらの AP-7p を水冷ポンプと共に引き取り、代わりに AP-47p を(無料でとは言わないが)寄越すか、取り敢えずその見積もりを送って欲しい」

 などとかなり無理を書いた手紙と一緒に昭和機械に送ったのが 12 月 19 日。もちろん、今になるまで何の音沙汰もない。

 さらに、1 月 3 日の観測中、シャッターが開かないというとんでもないトラブルが発生した。その場でカメラをバラし、動作させてみて不具合が分かったので応急修理したが、8 日の観測終了間際、フラットフレームを取得しているときに開いたり開かなかったりする症状が現れはじめた。これはヤバイ。きちんと直しておかねば、重要な観測中にシャッターが開かない恐れがある。にしても、新品のくせにこのトラブル、APOGEE AP-7p は欠陥品じゃないのか?

 ということで、1 月 11 日午前、昭和機械に電話したら例によって「担当者がいない。昼には戻るから、折返し電話をさせる」である。予想どおり電話はなかった。もう腹立ちを通り越して呆れるばかり。ユーザーに長距離電話を何度も強いる会社がどこにあるだろうか?

 明日は土曜日で会社は休みだろう。メールを送っても返信は期待できぬし、平日に電話して連絡が取れることも滅多にない。かといって黙っているわけにもいかない。あーあ、もうくたびれた。アメリカ製の器械はだいたいにおいて嫌いである。国産の信頼できるカメラが安価に入手できる時代が早く来ないか?( PLUTO )

2002 Jan. 12 エスクレメントオ

 イタリア語で「糞」の意だそうで、口語に使われるとき、日本語に訳せば「このクソ野郎」てなところか。筒井康隆氏の「俺の血は他人の血」に登場する主人公が口走る言葉である。久しぶりに読み返してずいぶん面白く感じた。

 学生の頃、帰宅して寝るまでの間に筒井氏の文庫を一冊読むのが楽しみな時期があった。溜まりに溜まった文庫本をまとめて親友に貸し出したりもした。ちょうど「筒井康隆全集・全 24 巻」が発刊され、およそ二ヶ月に一冊だったろうか、必ず買ってはその一冊を二ヶ月かけてチビチビ読んだ記憶がある。その後、何度も繰り返して読み、もう何回とおり読んだか定かでないほどである。氏の著作に「腹立ち半分日記」があり、頁のタイトルにお借りしている。

「筒井は面白いぞ」と、中学生の頃教えてくれた級友がいた。僕はへそ曲がりで「ふむ、こいつが面白いというのなら面白くないに違いない」と、全然見向きもしなかった(○葉君、すまんかった!)

 初めて筒井作品に触れたのが大学生時代だったわけで、これを中学生の頃読んでいたらどんな感想を抱いたか、興味深いことである。( PLUTO )

2002 Jan. 15 CCD カメラ裏事情と怪しい年賀状

 向こうからの連絡を待っても無駄であるから、また昭和機械に電話してみたら、いたいた、渡辺さん。

水冷仕様のカメラを空冷仕様に変更することは無理ではないが、たいへんなコストが予想される。

密閉性の不良については確かにパラレル兼電源コネクター部が怪しいが、検査と修理にはアメリカのメーカーに送ることが必要である。

冷却温度の不安定については電源容量の不足が考えられる。どう対処されるか、メーカーの返事待ちになる

AP-47p の価格はすべてアドサイエンス社が仕切っているので、こちらで勝手に決められない。

 甚だ頼りない返答である。僕のカメラはアドサイエンス・昭和機械の二箇所を通過したわけか。とにかく、APOGEE 社のカメラを購入するためにはアドサイエンスを通さねばならないそうである。国際光器と同じく、現地価格の倍は覚悟する必要がある。

 ともあれ、空冷化は諦めるので壊れたコネクターをさっさと何とかすること、密閉性を確保すること、冷却温度の不安定については、できればなんとかしてくれること等を依頼して電話を切った。きっちり直ったカメラが戻ってくるまでさて、早くて半年かな・・・その間、代替品が壊れねばよいが。

 ○央光学という、当初購入を検討した望遠鏡メーカーから年賀状が届いた。はて、結局買わなかったのだが?「腹立ち日記楽しみに見てます」だったか、そのような文面がある。自動導入回路がうまく動かないのを見て喜んでいるんですかな?>○○社長 最近のカタログに HG - 25 に 30 センチニュートンを載せたのを見ますが、以前「30 センチは重すぎて載りません」と直接お聞きした覚えがありますよ??

 こちら、Z 相は相変わらず使えないけれど、観測に支障おまへん。( PLUTO )

2002 Jan. 21 食中毒

 20 日夕方、久しぶりに外食したところ、4 時間後に次男が下痢と嘔吐。かなり苦しんでいる様子である。私自身は胃付近に違和感を覚えるが、暴食のせいだろうと考えた。

 翌朝起きてびっくり、まったく食欲がないばかりか、起立すれば酷い便意が繰り返し襲ってくる。出るものは完全な水様便。熱はない。そろそろ出勤の時刻が近いが、考えた末臨時休診と決めスタッフに連絡する。これまで病気で仕事を休んだことは一度あるかないかである。

 ヨメも長男も同様な症状を訴えている。これは食中毒に違いない。文献を調べ、起炎菌を推定するが、あいにく手元に抗生剤が少ない。やむなく、何でもいいからと手元にある抗生物質やらなにやら片端から服用し、月曜日は丸一日ほぼ完全に寝ていた。職場へ薬だけでも取りに行く元気はなかった。

 22 日、頻回の下痢がようやく治まり、出勤する

 耳鼻咽喉科は急性疾患を多く診るもので、先週末に「月曜日にはまた来院するよう」指示した患者さんには申し訳なく、謝るしかない。逆に「センセ、身体、大丈夫でっか?」と尋ねられたには少々面食らった。有り難いやら情けないやら。

 同店で食事をした客に少なからず中毒症状が出ているはず。彼らがどこかの病院を受診したら、その病院から保健所へ届け出があるだろうと三面記事に注意していたがそれらしき記事を見つけることはできなかった。( PLUTO )

2002 Jan. 23 スパイカメラ

 として有名なミノックス。先日の OAA・大阪支部例会に持参した方があり、以前よりコメットハンター・関つとむ氏の著書を通じて興味があったのでじっくり触らせて貰った。

 インターネットでマニアのページを見ていて、ついに衝動買いに及んだ。BもしくはBL型を 2 - 3 万円で、と考えていたところ、現行品であるTLXの、まだフィルム二本しか使っていないという、マニュアル、保証書その他全部が揃った美品が六割五分引きで、念のため、隣の店でそれより程度の劣るものが一万円高いことを確認して買ってしまった。

 距離計にはフィートでなく、メートル制が採用されているからアメリカ経由ではなく、ドイツからの直輸入品である。マニュアルはなぜか英語で書かれている。使い方は至って簡単。マニュアルを一回読めば分かる。シャッタースピードにタイム、バルブがないのは惜しまれる。これでは星が撮れない。(シャッターダイヤルをオートを示す A と 2000 の間に合わせればタイム露光ができることが分かった)

 レンズは 15 ミリ・F 3.5。20 センチまでの接写ができる。シャッターダイヤルにはなんとオートがついている。レンズに絞りはないようだ。1 / 30 秒から 1 / 2000 秒までと、ストロボ用(記載がないが、おそらく 1 / 60 秒?)があり、X 接点までついている。ストロボを焚くスパイがいるだろうか?

 さっそく出勤時に持ち出して街並みを撮影したり。 帰途、お見限りだったショップでミノックス用フィルムを取り寄せて貰おうとすると「調べたがカラーしか売られていない」と言われびっくり。機密写真を現像所に出すスパイがいるだろうか?

 マニアは 35 ミリフィルムをカットしてモノクロ撮影をやるそうだが、さまざまな小物を用意する必要があろう。はまり込まないよう注意したい。( PLUTO )

2002 Feb. 07 コンピュータウィルス

 が近頃猛威を振るっている。幸い、まだ感染、発症したことはないが巷では大騒ぎの様子である。ワクチンあるいは駆除ソフトがよく売れているそうだ。このウィルス騒動で喜んでいるのは根の暗いパソコンヲタクだけだろうか?ワクチンを作れるんならウィルスを作るくらい簡単だろう。案外ソフト会社の仕業だったりして。( PLUTO )

2002 Feb. 18 ニコン党

 の私であるが、この頃やや不信感を抱きつつある。もちろん、30 年来使っている Nikon F への愛着は大きい。

 数ヶ月前になるが、電池蓋を壊して修理に出していたデジカメを受け取りに梅田のサービスセンターへ出向いた折、隣の会話が気になった。

客 「実用上差し支えないので放っておいたのだが、このレンズ、ガラス内部にゴミみたいなものが見えるから調べて欲しい」

SC 「調べた結果、気泡のようです。分解してそのガラスを交換することになりますが」

客 「気泡とわかればそれでいい。実用上支障がないからそのままでいい」

 ちょっと呆れて私の相手をしている係の人に小声で尋ねてみた。

「素人が肉眼で気づくような気泡がなぜ出荷前の検査を通過したのか?気泡と分かれば欠陥品であるから無料交換が当然と思うがどうか」

 といったような内容であったが、納得できる答えは帰ってこなかった。ニコンも落ちたもの。( PLUTO )

2002 Feb. 20 無線機梱包

 僅か数年間活躍したアマチュア無線の機械が邪魔になってきたためとうとう梱包してしまった。引っ越してきた直後に苦労してアンテナを挙げただけに少々淋しい。アンテナは別段邪魔にならないのでそのままにしてあるから、無線機さえ繋げばすぐに使える状態である。ドイツ製の手作り電鍵はどこかに飾っておこう。

 無線機の機種名はケンウッドの TS - 790 S (144, 430, 1200 MHz) TS - 850 LTD (1.9 - 28 MHz)。ともにフィルター満載のハイパワー機。美品であるがショップに持っていっても二束三文だろうし、どなたか買って下さいませんか?

 実のところ使い手のない古いパソコンが場所をとるようになり、それを無線機撤去の跡に置くはずだったがそんなスペースはすぐになくなってしまった。当初の目的であるパソコン置き場は見つからないまま、LC 4758100 / 80 がアチコチに散らばったままである。あ、もはや動かない IIcx SE / 30 もどこかの棚に押し込んでいるはず・・・( PLUTO )

2002 Feb. 27 ミノックスにはまってはいけない

 と知りつつ、はまり込んでいくことが避けられないのは分かっていた。カラーは 36 EX フィルム代 700 円、現像料 500 円、同時プリントが一枚 40 円と高く、カメラの操作が難しいので晴天下・無限遠の風景以外では失敗が多い。ポケットに入るカメラなので近頃は常に持ち歩いているが、スパイカメラであるから、あらぬ方向を向いてスパイ写真を撮らねばならない。画面が小さいため粒子の粗くなる高感度フィルムは使えず、低速シャッターになるからプレが多い。このような失敗が多くなる写真をカラーでやるわけにはいかない。

 そこでモノクロへ走ることになるのだが、まずライカ版フィルムを 9 ミリ幅にカットするためのフィルムスリッター専用現像タンクが必要になる。フィルムスリッターは国産で、東京のノックスフォトサービスに電話で注文すれば手に入る。空のフィルムマガジンネガシース(これはライカ版用で間に合うはず)もここで手に入る。ミノックス製現像タンクは先日梅田のショップで見掛けたため早速買ったが、14,000 円とずいぶん高価である。

 モノクロフィルムは二十年くらい触っておらず近頃の銘柄を知らないがショップではネオパンが健在で、コダックは T - MAX がネオパンより僅かに安い。現像液は昔からの微粒子用ミクロファインが健在。

 既に二本を撮り終え現像してみたけれど引伸ばし機がないためプリントできない。とりあえずはスキャナを使ってみるか?部屋は押入でも使うとして、バット、暗室照明、ガラス製ネガキャリアその他を揃えねばならない。かなりの出費が必要で、やり出せば時間を取られるし、現在思案中である。( PLUTO )

2002 Feb. 28 睡眠不足

 は万病の元であるからなるべくこれを避けねばならない。

 寝不足の朝は体が冷えるし気分も憂鬱。昼寝しても午後の仕事を終える頃には帰りの電車、バスに揺られることすら苦痛になる。腹は減るので夕食を抜くことはないが、風呂に入るさえ面倒に感じることもある。ところがどうしたことか、22 時を過ぎると次第に元気になってきて、本を読んだりパソコンに向かったりすればもうオシマイ。午前 3 時就寝、などということになり翌日に響くわけである。

 22 時には寝てしまう習慣をつけたいと常々努力しているつもりだが、深夜前の時計はやけに速く動くようで、気がつけば床に入るのは 24 時を回っているのが実状。そこで枕元の江戸川乱歩なんかに手を出せば少なくとも 3 時間の睡眠時間が削られてしまうわけだ。( PLUTO )

2002 Mar. いろいろ

 ペイオフという言葉を新聞紙面上に見ない日はない。ペイオフとは「銀行に預けた金が返ってこない」ことらしいが、これだけ毎日ペイオフ、ペイオフと書き立てられれば、全部の銀行がいっせいに潰れてしまうような気さえする。

 バブルで失敗した銀行に対し、もはや保護しない代わりに、潰れたら預金者には迷惑をかけてもよろしいということですな。やたら合併している銀行は真っ先に潰れるだろうし、いずれ全部の銀行が潰れてしまうのも時間の問題であるからそのうち預金などという概念が消失してしまうに違いない。

 タンス預金が増え、強盗が増え、特高と治安維持法が復活し、自衛隊は陸海空軍に昇格し、万世一系の天皇が日本国を統治するようになり・・・


 四月から医療保険制度がまた悪くなる。半年に一度のことで、いまさら反対運動も何もしないが、今回はちょっと困ったことになった。レセプトに投薬内容すべてが記載されるとのことである。門外漢にはピンとこないだろうが、医薬品には適応症というものがあり、当該疾患に対してしか使用できないのである。これまた当たり前に思われようがそうではない。

 例えば抗生物質には胃腸を傷めやすい性質のものが幾つかある。そこで胃薬を併用するわけだがその胃薬の適応症が「胃潰瘍」だったとすると「急性扁桃炎」の患者さんに「胃潰瘍」の病名をくっつけねばならないわけだ。尤も、医療とは「予防であってはならない」から、服薬によって胃潰瘍を起こしてしまうまで胃薬を使ってはならないのが建前である。こちら従来胃薬の類はあまり使わず、胃の調子が悪いとの訴えを聞いて初めて処方していたが、なかには『胃が弱いので胃薬も一緒に出してくれ』と言う患者さんには断るわけにもいかず、最近になって胃薬の併用を多くしたばかり。診断したわけでもない「胃潰瘍」の病名をカルテに記載せねばならないことは医師として不本意この上ない。

 不本意ながら診断をしていない「保険病名」をカルテに記載するか、患者さんには面倒をかけるが内科へ行っていただくか?

「適応症」とはメーカーが大学病院などに治験を依頼してその効能を確かめ、厚生省から認可されて初めて「この薬を※※病に使ってよろしい」とお墨付きを頂く病名のことである。同一成分で異なる会社から販売される薬剤の適応症が異なるのは治験を行ったか否かによる。同一成分なら同一疾病に効くはずであるから薬品ごとに行わねばならない治験など儀式にすぎない。さらには例えば「嗅覚障害」にはステロイドの点鼻薬を使用するが、そのステロイド点鼻薬は販売されておらず、ステロイド点眼薬を使うことになる。効能書には「適応症:結膜炎」等となっているから「結膜炎」の病名を付けねばならない。

 大学病院勤務時代、医局会にメーカーのプロパー(今では MR と呼ばれる)がやってきて、中耳炎に使う抗生物質の点耳薬を宣伝した。この薬は以前より点眼薬として出ているものである。誰かが質問した。

「その薬と以前から出ている点眼薬の違いは?」

「添加剤を含め中身は同じです。ラベルが違うだけです」

 世の中こんなもの。

 さて、「耳が痛い」患者さんがすべて「中耳炎」「外耳炎」とは限らない。胸鎖乳突筋といって鎖骨から耳後部の骨の出っ張りへ延びる筋肉があり、これが「凝る」ケースがある。いわゆる肩凝りに効く薬を出すのだがこれの適応症が「頚肩腕症候群」である。ウチは整形外科ではない。


 話変わって疲れるケースをひとつ。しばしばうちにかかる患者さんがいて、この人、何かあると必ずまずは内科を受診する。それは勝手なのだが・・・

「三日くらい前からノドが痛くて内科へ行ったんですけど『扁桃腺に白いブツブツができてるね。耳鼻科で診て貰えば?』と言われました」

 診れば典型的な急性扁桃炎であり、内科の領分ではない。最初から耳鼻科を受診すべきであった。

「確かに扁桃炎です。で、内科から薬が出ていますね。名前は分かりますか?」

 薬袋を手に持っているのでそれを見ながら尋ねるとまずいモノでも見られたかの如く背中の後ろに隠してしまう。

「薬は出てますけど・・・」

 よそから出ている薬剤の内容を知ることは医師として必要な情報である。なぜ見られたくないのか理解に苦しむが、言いたくないならそれも結構。

「典型的な急性扁桃炎で、耳鼻科医の専門ですが、抗生物質や痛み止めが出ているならそれでかまいません。なぜ今頃うちを受診されたんです?」

「内科で『白いブツブツができている』と言われたから、それを取って貰えば楽になると思って・・・」

 素人にも限度があるぞ。そろそろこちらも診療意欲をなくす頃。信頼関係のない患者さんを相手にするのは大変疲れるし、そもそも医療行為として成り立たない。( PLUTO )

2002 Apr. 08 PowerBook G4

 買ってからさほど経っていないこのパソコン、「J」キーの接触が悪くなっている。ホコリまみれの部屋に蓋を開けっ放していたのが悪かったか?

 なぜ蓋を開けたまま放っていたかというと使い勝手が悪いからである。キーボードは JIS 規格になってしまったし、OS 9 では同じ IME でも変換法が微妙に異なる。従前のマックキーボードはまことに使いやすく、職場に置いてある PowerMacintosh 8500 / 150 G3 改には SE / 30 に付いていたキーボードをくっつけてこれが一番稼働率が高い。

 さすがにこの機種も世に出て 5 - 6 年以上は経っているだろうか、隣の ThinkPad A22m と比べて処理速度が遅い。画像処理などやらせてみると一目瞭然である。

 さて、新しいデスクトップ型マックを物色しようと思っても、やはりキーボードが使いにくいし、最近の機種はデカすぎて現用のラックに入るかどうか分からない。仕事関係に FileMaker を頻用しているため、ウィンドウズに乗り換えることも難しい。Win 版の FileMaker を買っても互換性に不安がある。面白くないがやはりここはウィンドウズに全面的に乗り換えるべく使用ソフトを切り替えていくしかないのかなあ。( PLUTO )

2002 Apr. 10 入学式

 なんぞに父親たる者が出るべきではないが、たまたまこの日は休診日。怖~い奥さんに睨まれつつ真白のカッターシャツを着る。ネクタイを勘弁して貰うのがやっと。ん?これは確か数年前、バアさんの葬式に着たシャツではないのか。

 オヤジの出身校よりも好ましい校風を持つといわれる神戸の中学校へ出向き、待ち時間に戸外へ出て神戸の海を眺めているとやたら大声が聞こえる。例によって携帯電話。

ベンゴシノ○○○○です。そうです、XXの件で・・・それで、・・・ ベンゴシノ○○○○です。そのとおりです。うむ。・・・ベンゴシノ○○○○です

 あのなあ、オッサン・・・ もしや、あんたの名前「便越野○○○○」さんで?( PLUTO )

2002 Apr. 12 生活習慣の前倒し

 を考えている。寝てしまうのがいつも 24 時頃になるのを例えば 21 時へとぐっと早くして、午前 3 時に起きるというものである。彗星の眼視捜索者達には常識的な生活パターンであるが、こちら 40 年以上も続いている習慣を変えるのはなかなか難しい。

 明け方の観測に備えて 26 時半に起き出した。21 時に眠ることはできず、結局睡眠時間僅かに 3 時間。

 観測を終えたのが午前 5 時過ぎで、少しでも睡眠をと一旦布団に潜り込んだものの足が冷え切っていて眠れない。13 日の仕事は頭が働かなかった。趣味のために仕事に支障をきたすようではプロ失格である。

 大彗星を発見した百武氏が若くして急逝された。ご冥福をお祈りする。このニュースを見た松○君、同窓生のメーリングリストに「江崎君はこの時間も(12 日 24 時)ドームを開けているんかな」などと書きおった。天文家の死亡記事を読んで級友を思い出すなよ。縁起でもない。( PLUTO )

2002 Apr. 13 タマネギ全滅の危機

 一昨年に植えたタマネギは大成功で、昨年、奥さんがタマネギを買うことはなかった。つまり自給自足できたのである。ところが、昨年植えた早生のタマネギだが、ボチボチ葉が倒れてきて収穫時期なのだが大きくなっていない。ほとんどゴルフボール大。

 うーむ、追肥はしっかりやったのだが・・・ 植え付け間隔が狭すぎたか、中耕を怠ったからか?そろそろ夏の作物を植え付けねばならないが、その前にこれら小さなタマネギを収穫し、土をひっくり返し、石灰や堆肥を蒔く作業が待っている。これがしんどいのです。( PLUTO )

2002 Apr. 15 接続を要求するメール

 が届くので要注意。おおかたはパソコンソフト関係のダイレクトメールだが、受信が終わって読もうとするとルーターが動き始める。つまり接続されてしまう。こちら常時接続ではないので、件のメールを表示させただけで 10 円かかることになる。

 対策として、メールチェックが済んだら即座にオフラインに切り替えるようにした。そうしておいて表示させたメールに×印の入った画像らしきものがあればそのメールは削除し、二度と受信されないよう手続きをとる。なかには削除したくないものもあるが致し方ない。( PLUTO )

2002 May 04 ペット用ビーフジャーキー

 がさりげなく食卓に置かれていたのでペット用とは知らず、食べてみて驚いた。味がないのである。犬猫は塩分を採りすぎると腎臓を傷めやすいそうで、ペットフードは塩分を抑えてあるのだそうだがそれにしても人間用とあまりにも違いすぎる。

 印度料理、中華料理、韓国料理など食べた後、口渇をおぼえるのは塩分が多い証拠。気を付けねば高血圧症にかかるぞ。( PLUTO )

2002 May 06 阪神球団のケチぶり

 には今さら驚かない。6 日の対スワローズ戦を見に久しぶりに甲子園へ出かけた。今年から観客席が改装されたとのことなので、どう改装されたかにも興味があった。

 当日はなんと 46,000 人の観客が集まったそうで、ライトスタンド、一塁側イエローシートが早々と売り切れ、外野ももちろん満員。となれば三塁側オレンジシートしかない。前回来たとき、この内野特別指定席は上下に区切られ、グラウンドから遠い上段が少し安かった記憶がある。今年から区切りがなくなったようである。入場料は下段の高い料金が全体に適用されている。なんとまあ・・・

 甲子園に阪神ファン以外が来ることはあまりないので三塁側でタイガースを応援することは差し支えない。オレンジシートは高価なので比較的空いているから、入場券に書かれた座席に律儀に座る必要もなく、ゲームが見やすいところに移動することも可能である。この日、スワローズファンはレフトスタンドにちんまりと収まっていた。百人くらいいたかな?

 イエロー、オレンジとも同じ料金の内野特別指定席は大変横に長い。グリーンシートに近い中段付近は大変見やすく、アルプススタンドとの境目付近は外野と同じくらいグラウンドから遠いので 3,500 円を支払う価値はない。

 ネット裏・グリーンシートは年間指定席で、我々一般人には無関係と思っていたが、切符売り場のおばちゃんに尋ねてみるとときおり空きがあるときは入場可能とのことだった。4,200 円と、イエロー・オレンジより 700 円高いだけなので一度ネット裏からの観戦をやってみたいものである。

 ラッキーセブンの 46,000人による風船乱舞には驚いた。仮に 4 万個の風船が飛んだとしよう。ひとつ 50 円であるから合計 200 万円になる。ケチの阪神球団が落ちてきた風船を廃棄処分しているとは考えにくく、何割かは再利用しているに違いない。因みにばら売りの風船はポリ袋にこそ入っているものの封がなされていない。他人が使った風船を膨らませたくはないなあ。間違ってたらゴメンなさいね。『名誉毀損』などと無粋なことは言わぬように。>阪神球団 ( PLUTO )

2002 Jun. 05 畑の現状

 4 月末にサツマイモとミニトマトを植えた。

 昨年の失敗に懲りて今年はミニトマトにかかりきりである。まず、支柱をしっかり立て、伸び具合によってヒモでくくりつけねばならない。放っておくと倒れてしまう軟弱者なのである。週に二回は脇芽を摘み、リンカリ肥料を与え、雑草を抜く。ボチボチ実がつきはじめ、順調に育っている。サツマイモは強いので肥料も不要、放りっぱなしで世話がかからない。

 植え付け間隔を詰めすぎ、スペースができてしまった。そこで、時機を逸したかもしれないがエダマメを直播きした。一週間経っても芽が見あたらぬ。よく調べると発芽したばかりのところでカラスやハトにやられたらしい。うーむ、、、 屋内で苗を育ててから植え替えるのが間違いないが、今からでは遅いか。( PLUTO )

2002 Jun. 11 携帯電話

 を使って写真を撮ることができるらしい。なんで電話機で写真を撮るのか。カメラを使えばよろしい。

 それはともかく、通勤途上のヒマ潰しにインターネットを使ってサイトを覗くことがある。これがまた役に立たず面白くない。さらに、ここから先は有料とか、無料!今すぐ登録を!に出くわして前へ進めない。無料がそんなに珍しいのか?無料なら登録する必要もあるまいに。パソコンなら天気図やひまわり画像もタダで見られるぞ。やむを得ないので自分の URL を手入力し、リンクページからアチコチ飛んでいる。文字だけのページは概ね読めるけど、電話機の小さな画面で苦労することもないなあ。

 カメラで思いだした。この数ヶ月、デジカメをさっぱり使っていない。理由は簡単、画像をパソコンに移しても画面で眺めて終わり。その先、使いようがないからである。やはり写真はフィルムを使うのがよろしい。これを読んで「こいつ、アホか」とお思いの方、デジカメを活用されている方、アドバイス下さいませ。( PLUTO )

2002 Jun. 27 ワールドカップ

 普段サッカーには興味を示さないが、世界の一流が集まるということで、何試合かをテレビ観戦している。90 分間の試合を全部見るなどひょっとしたら生まれて初めてかもしれない。帰宅・夕食後にゲームが始まり、ハーフタイムに入浴するとまこと具合がよろしい。

 そのような人間が感想を述べたところで意味がないから少しだけでやめておく。一流同士の試合であるから凡ミスが少ないのは高校野球と好対照で精神衛生上よろしい。ドイツのゴールキーパー、面構えが大変よろしい。昨夜はブラジルが勝ち、30 日にはドイツとの決勝戦が行われる。ドイツが勝つような気がするのだがさて、キーパーのご面相だけからの予想、当たるかな?( PLUTO )

2002 Jul. 02 ドイツが勝つだろう

 と予想してアップロードを忘れていた。残念ながらブラジルが勝ち、予想が外れた。

 畑のミニトマトが色づいてきた。今月が収穫期である。花房の数を数え、ざっと皮算用したら一株あたり 50 - 70 個採れることになる。四株植えているから(そのうちの一株は元気がないが)全部で 250 個位か。さて、モトは取れるだろうか?などと考えるより、長雨と害虫の心配をせねば。( PLUTO )

2002 Jul. 21 梅雨

 が明けてようやく星が眺められるようになった。早速 21 日、23 日と観測を行うが、あいにく月が太って空が明るいし、なにより透明度が良くない。写るはずの彗星が写らない。形状の観察もままならない。

 ところで今年は梅雨明け前に台風が幾つもやってきた。それも秋台風の進路である。梅雨が明けたら、接近しつつある台風ふたつ、いかにも夏台風的な予想のつきにくい進路である。今朝から東風が強くなってきた。さて今度はどちらへ行くのか。

 梅雨末期の台風により、畑が水浸し。湿気に弱いミニトマトは今まさに収穫期というのに葉や茎が変色し、これは病気に違いない。月末までには引っこ抜かねばなるまい。( PLUTO )

2002 Jul. 24 圧力

 に屈し、この日記の一部を不本意ながら削除する羽目になった。プロの作家なら削除などしないだろうが、こちら作家ではない。

 匿名集団(筆者自身にすら面識があるのか否か分からない集団)のことを書いたのであるが、それって私たちのこと?と、ヨメさんに問い合わせた人がいたようで、昨夜はどえらい目にあったのだ。匿名であるから誰のことでもない、と突っぱねることもできぬではないが、家庭内にヒスをまき散らされるのもつまらぬので、今回はおとなしく削除しておく。筆者はこういった手合いに理屈が通じないことを知っている。よって、今回のみ、自分らしからぬ対応をとることにした。今後のこともあるので、昨夜ヨメさんに問い合わせてくれた人の名前だけは憶えておく。

 ともあれ、ここの書き込みが気に入らぬなら作者に直接メールなり下さればよろしい。そのメールをこの場にそのまま掲載する用意があることは、開設当初にアナウンス済みである。( PLUTO )

2002 Aug. 05 医師を殺すに刃物は要らぬ

 毎度こんなことばかり書いていては医師としての資質を疑われ兼ねないが自分自身それを疑っているほどだしここのネタとしては面白いので書く。

 ある午後診終了間際のこと。別段早く帰宅したいわけではないが、ああこれで終わりと思っているときの駆け込みはあまり嬉しくない。

「どうしました」

「左耳が痛いんです」

 外耳炎か中耳炎か。中耳炎なら風邪をひいているとか、強く鼻をかんだとかの原因がある。外耳炎は触りすぎによるものがほとんど。

「鼻が出るとか、風邪みたいな症状はありますか。聞こえにくいですか。それとも耳を押さえたり触ったときだけ痛むんですか。」

「電話なんかで声を聞くと痛むんです。風邪はひいてませんし、よく聞こえてます」

 声を聞くと痛む?そんなことがあるものか。受話器を押しつけて痛むのなら外耳炎だろう。

「鼓膜は正常です。中耳炎ではありません。外耳道が赤くなってます。いま薬をつけてますが、この場所痛みますか」

「痛いです」

「はい、外耳炎です。耳掃除のやりすぎ、あるいはやりそこねが原因です。触らねば数日で治ります。痛みが酷いようなら薬を出しますがどうですか」

 案外簡単に済んでホッとした。と思ったら、、、

「右も、、痛いんですけど」

 ・・・。 最初に「両方痛い」と言って欲しい。

「ああ、こちらも同じです。程度が異なるだけです。薬を出しておきましょう。薬が切れる頃また診せて下さい」

「左耳が聞こえにくいんですけど」

 ・・・・。 よく聞こえていると言わなかったかな。さっきのは嘘か。

「鼓膜は両方とも正常ですよ。さっき聞こえは悪くないと仰いましたね」

「聞こえにくいというより、ふさがった感じなんです。今はなんともないですけど、ときどき起こるので。いつも鼻が出てますし」

 ・・・・・。 風邪らしき症状はないと聞いたが。アレルギーによる鼻漏は別と思い込んでいるらしい。質問の仕方が悪かったか。

 外耳炎が鼓膜付近に及んだとき、そんな症状が出ることがある。あるいは風邪かアレルギー性鼻炎が原因で軽い耳管狭窄を起こしている可能性もある。ならば鼻炎の確認とティンパノグラム(鼓膜の動きを調べる検査)が必要である。しかし、症状のない今は調べようがない。尤も、異常なしとの検査結果を見て安心する患者さんが多いことも確かであるから正常と分かり切った検査も無意味ではない。

「鼻と喉を診ます。ああ、アレルギーのようですね。膿性の鼻汁も少し出ている。それに鼻中隔が左に彎曲している。見た目は正常ですが、鼓膜の動きを調べておく必要があります」

「え、検査ですか。受けたくないなあ。多分正常です」

 ・・・・・・。 まあ正常だろうとこちらも思うが、本人が正常であると主張するのは珍しい。正常鼓膜、現在症状の消失している耳閉感。これに対して検査なしに状態の説明を行うことは困難である。

 検査の結果は予想どおり正常であった。

「正常でした。外耳炎と、鼻炎からくる軽い耳管狭窄の両方あるいはどちらかが原因で耳閉感が起こるのでしょう。のみ薬と点鼻薬を出しておきます。数日で治ります」

「あの、空気を通して欲しいんですけど」

 そういえば旧カルテには同様の症状で通気療法が有効だったことが記載されている。

「今、症状はないんでしょ。検査結果も正常ですし。通気しても予防にはなりませんよ」

 引き下がらない。  あっ!このクランケはただ通気を受けたかっただけなのだ!なんという時間の無駄を・・・ 問答している時間が無駄である。

「それじゃ通しておきましょう」

 通気管が太すぎたか、左の通気音が聞こえないのでやり直すことにした。職員に細めの通気管をよこすよう指示する。

「あの、右は必要ないんです」

 通常、狭窄の度合いを診るため無症状の側も通すことが多い。しかし今回はそもそも通気の必要を認めないので左だけにするつもりである。

「いや、鼻中隔彎曲のためでしょうが左が通らなかったのでやり直すだけです」

「いえ、ちゃんと通りました」

 ・・・・・・・。 どこまで人をバカにすれば気が済むのか。

 近頃慢性胃炎に苦しんでいるが、この日、急速に悪化した。開業医を殺すのは簡単です。イライラさせてやるだけでよろしい。( PLUTO )

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