| Homepage | Heavens & Optics | Hiking | Ham Radio & Others | Link | Author | Mail |

No.081 <大峰>一周忌・大普賢岳

1995.03.18.Sat.曇り

帰宅するなり 3 時間ばかり昼寝する。

和佐又にいる平熊さんから電話あり。早速今日登ってみたところ石の鼻から先は怖くて行けないとのこと。平熊さんが「恐い」だって?ホンマかいなと思ったが素直に聞くことにしそれならば出発を一時間遅らせることにした。それと、急遽家族連れに決定した。


1995.03.19.Sun.快晴

メンバー:平熊

0400 起床

0500 頃出発 R171 を東進し池田 I.C.から阪神高速に入る。

0700 頃 和佐又ヒュッテ着 林道のヒュッテ直前のヘアピンでスリップし進めない。やむなく 50 メートルほどバックし、勢いをつけて無事通過。車内の整理と無線機の取り出しなどやっていたらこまくささんが車まで来ていた。寝不足のような眼をしている。村ッチョもやってきた。お久です。

【左から小普賢岳、大普賢岳、日本岳(孫普賢)、曽孫普賢】

ヒュッテには入らず出発の身繕いをやっていたら平熊さんがおや、もう行きますか?というのでええと答える。あとになってわかさんの絵画が展示してあったことを思い出した。下山後に見に行ったら既に片づけられていた。いずれ展覧会があるだろう。

0805 出発(1150m) 10 - 20 センチの締まった雪の上を行く。ときどきツボ足。最初の鉄梯子を登って指弾の窟。間もなく日本岳の絶壁が見えてきて笙の窟到着。ときおり遥か上方からつららが落ちてきて驚く。水場は凍りついている。

【凍てついた水場】

ここから先、早くもヤバい箇所があるそうでアイゼンを着ける。平熊さんは昨日、片方のアイゼンが壊れてしまったとのことで 12 本歯は片方だけ。もう一方には 4 本歯の軽アイゼン。うーむ ....

笙の窟を過ぎてすぐ凍結した下り緩斜面。次第に雪と氷が増えてきて鉄梯子など中途半端に出ているものだからなかなか登りにくい。夏でさえわかりにくいルートがなおさら判りにくくなっている。
日本岳のコルに出たらしばらくは広い尾根を登る。夏と違って見通しがいい。

0930 石の鼻(1585m) 夏ならここまで一時間なのに今日は一時間半もかかっている。一歩一歩が重い。展望がいいところで一息入れる。和佐又のならやまさんと交信。充分に話ができる。これだけ近いのだから 350 mW でも充分だろう。2FU さんとも交信する。あきゆきさんとは交信不能。まだ高見山の尾根に出ていないのだろう。

【石の鼻から小普賢岳への道】

小普賢岳の向こう、大普賢岳の北東側に絶壁がいくつか見える。わかたさんが落ちたのはどこだろうかと考える。一度現場まで降りたときにこちらを見た感じからはだいたいあそこかなと想像がつくのだが決定的な証拠が見つからない。

0945 発 昨夜の平熊さんからの電話でここから先は行かないことに決めていたが一応覗きに行ってみるとトレースがある。先行者があるらしい。まあ行ってみようということになった。

夏道から離れたりまた戻ったりしながら雪上を行く。積雪は 50 センチ~ 1 メートルくらいか。ところどころ赤テープや新たに張られた白いロープが夏道を示している。夏道の北側が絶壁であることを知っている我々はなるべくロープに近づかないように歩く。

小普賢岳への登り途中で軽装の二人連れに出会う。一人は六本歯アイゼン。もう一人はストック。カメラをぶら下げている。小普賢岳を越えたところで怖くなって戻ってきた由。

1010 急な登りののち小普賢岳頂上直下の慰霊看板に出た。一休み中、無線機からあきゆきさんの声が聴こえなんとか交信成立。
さらに急傾斜の雪面を下る。このあたりは怖いと聞いていたがもし滑ってもどこかで引っかかって止まれる。よほど運が悪くなければ死ぬことはない。

大普賢岳と小普賢岳のコルは広くなっていて風がやや強いが緊張感が途切れる場所である。エビのシッポが美しい。南には奥駈道の和佐又側絶壁が見える。よく霧が出る場所で、ついカメラを取り出したくなる景色の良い所である。

この後に現れる鉄梯子は半分位が氷に覆われていてアイゼンの前爪を蹴りこんでなんとか登れる。登り切った後も足場が凍結していて滑りやすく危険である。ピッケル、アイゼン、頼り木を大いに活用する。木道についた鉄の手摺りはウールの手袋が張り付くほど気温が低い。石の鼻から上は前爪付きアイゼン、ピッケルに加えてオーバーミトンも必要である。

コルを通過。焚火跡は雪に埋もれて見えず。ただ新しい木の切り株があってそれとわかる程度。
右側に谷が落ちるトラバース道。昨年 11 月、滑落遭難のあった場所はここだろうと意見が一致する。

1050 さて、いまひと登りで現場に到着した。ふうふうはあはあ登っていてはわからない。平熊さんの指摘で気づいた次第。見慣れた木の祠。谷側には昨年 10 月 23 日、地獄谷源頭までザイルを使って降りたときに巻き残しておいた赤い布がまだある。
下を覗き込むと雪はあまりない。昨年より随分少ないらしい。
祠付近は狭い登山道が凍結していて危険なので少し下ったところで雪を踏みつけて平坦にし、ザックを下ろして線香を上げる。昨年 5 月のときと同じく平熊さんがモルツを 2 本取り出し、「わかちゃんにあげてください」...

【エラそうな格好に見えますが実は疲れきっているのです】

和佐又と交信して下山にかかる。頂上まではあと 130 メートル。往復で 1 時間くらい余計にかかるだろう。もういい、やめた。

1115 下山開始 登りに増して神経を使う。下りなのに息が切れる。ピッケルを根元まで雪に突き刺してしっかり握りながら次の一歩を踏み出す連続。ほとんどが右・山、左・谷なのでピッケルを持つ右腕と肩が疲れてきた。小普賢岳を越えて石の鼻寸前の最後の危険箇所を通過してほっとする。

1215 石の鼻(1580m)
1230 発 ここから先はもう危ない場所はないので気楽に下る。日本岳のコルから麓へ。絶壁を巻く道は往路はややビビッたものの帰りには何とも思わなくなっている。ダラダラとした下りを歩く。ところどころツボ足となるのがいやらしい。雪質が朝とまるで変わってしまってザラメ状態である。よく滑るがスケートでもやる感覚でズリズリ歩けば楽であることを発見する。

1330 ヒュッテ着(1150m) つかさが出てきた。ソリ遊びをやっていたらしい。玄関前にワッショレ隊長がいる。お久です。

西名阪が渋滞していて西宮に着くまでに 3 時間半を要した。

歩行時間 0430
休憩時間 0055
合計時間 0525


| Back |