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No.090 <比良>ヘク谷溯行

1995.09.30.Sat.晴れ

メンバー:佐野、2FU、MANGO

1845 に JR 大阪駅に着いたので駅弁と缶入りお茶を買ってからギャレをしばらくウロつく。集合時刻が近づいたので駅北側へ出たら 2FUさんがもう待っていた。
MANGOさんがまだ来ていない。しばらくして 2FU さんの携帯電話が鳴る。MANGO さんは集合場所がわからないらしい。交番にいるということなので中央口北側の交番のことだろうとそちらへ向かえば大ザックを抱えた若い女性が向こうから... 「もしもし、ひょっとして...」と声をかけると待ってましたとばかりに「マンゴーです!」あまりの勢いにうろたえてしまう。まあ無事合流できて何より。えらいべっぴんさんぶりに驚く。我々みすぼらしいオッサン達とは釣り合わない。

2FU さんのランクルに乗り込み、福島 I.C.から阪神高速池田線へ。料金所から上を見ると大渋滞の様相。外車同士の衝突事故であった。なかなか派手にぶっこわれている。豊中 I.C.から名神へ移り京都東 I.C.あたりで 2FU さんの携帯電話が鳴る。佐野さんからだろう。ところが携帯電話がどこへ行ったか分からずようやく見つかった途端に切れた。雄琴を過ぎて間もなくのコンビニに佐野さんが待っていた。そこで買い物。

さて、ヘク谷出合付近に適当なテン場を見つけてテントを張り宴会モード。

MANGO さん用に佐野さんが小型テントを用意していたが、MANGO さんは皆と一緒でいいというので一同驚きつつもテントは 2FU さんの宴会用大テント一つだけ張ることにする。

2FU さんは牛肉とネギを持ってきていて、出汁を鍋に貼りすき焼き風のあてをこしらえてくれる。佐野さんは牛肉は恐れ多いとか昔は鯨やったとか言ってる。23 時過ぎにはお開き。寝る用意。

2FU さんはシュラフカバーにインナー。佐野さんと私のシュラフは同じ天山の同じ規格のものであった。尤も、私とは比較にならぬ山歴を持つ佐野さんのシュラフはずっと古いモデルである。
MANGO さんが左端、佐野さん、2FU さんと並んで私が右端。佐野さんが遠慮して MANGO さんから離れるものだからこちらにしわ寄せが来る。私はテントの生地に張り付いて眠ることになる。夜中に雨音で何回か目が覚めた。


1995.10.01.Sun.曇りのち雨

0600 起床 佐野さんが最初に起きだして次が MANGO さん、私がその次。2FU さんはしぶとく寝ている。

佐野さんは「朝一番のバスが着くよりも早く出なければテント泊の意味がない」と焦っている

0745 (370m)谷歩き装備に変身して出発。MANGO さんのみ地下足袋にワラジ。あとは渓流靴。

ヘク谷には美しい滝が多くこれまで独自の判断で行き先を決めそのたびにスカを食らってきた薮山突撃隊は「やはりガイドブックに紹介されている谷はいいですね」と反省しきり。

ほとんどの滝を巻くことなく直登した。MANGO さんは初めてとは思えないほど大胆に岩を攀登って行く。うーん、やるなあ。
要所では佐野さんが上からロープあるいはシュリンゲを降ろしてくれる。単独で来るには危ない谷と思う。佐野さんが一見苦労して登っているように見えるところがあって緊張したが、2FU さん曰く「佐野さんは遊びながら登りますからねえ」
シャワークライミングは一ヶ所だけ。流れのただ中にホールドを求めると手から腕を伝わって胸、腹、パンツの中まで水が染み渡ってきて飛び上がりそうになる。一時間ほど登って少し休憩。天気は曇天。谷間なので天気がこれからどうなるのか空の変化がわからない。

1020 (715m)エアリアマップに唯一載っている直登不能な大滝を巻いた上で休憩。

大文字草を見つけた。そうか、わかたさんが仁川で私に見せてくれるつもりで機会を逃してしまった大文字草か... なるほど花びらが「大」の字にそっくりである。

1030 発 滝の流れの真下を通過せねばならないところに出てしまって、パッと飛ぶつもりが何の間違いか流れの真下で一時停止のはめに陥り全身ずぶ濡れ。
栃の実や栗が落ちていたりイチジクのような味のする木ノ実を見つけたり山菜狩りモードとなる。実に楽しい。

標高 900m あたりで最後の分岐点。マップを見るととにかく南へ南へと進んで行けばいいようだが、昨年佐野さんはそれでえげつない薮こぎを強いられたとのこと。今日は「ここで北側の谷へ!」という佐野隊長の決断で大成功。この頃左手の藪がガサガサ鳴り皆「熊が走って逃げた」という。残念ながら遅れて歩いていた私だけ見なかった。やがて薮に入り道が再びぬめってきたなと思ったら小女郎池に出た。

1230 小女郎池(1100m) カップルがコンロに火を入れて食事中。そこへ薮の中からカラビナをカチャカチャいわせながら突然現れたヘルメット四人組。驚かせたかも?

風を避けられる場所を選んで各自座り込み昼食の態勢にはいる。お握り一個。雨が降り出したので早々に出発する。
稜線に出て風に吹かれると T シャツ一枚ではかなり寒いのでウールのカッターを着る。

1245 発 池の南側を周り一般登山道を西へ下る。比較的歩きやすいが時折現れる急傾斜は結構きつい。
膝を傷めている 2FU さんは今日はテーピングの用意を忘れたとのことでゆっくりモード。適当に先頭を変わりながら下っていく。

突然立ち止まった 2FU さんは路上のカエルを過って踏みつけたようで「死んだふりをしていますね」... 踏み殺してしまったのでは?

神社に出た。お地蔵さんがあって「安全登山」の前掛けをしている。佐野さんが早速手を合わせる。隊長にならい、皆手を合わせる。

1430 車道を少し歩けば車デポ地。荷物を積み込み近くのバス停へ移動。バスは当分来ないことを確認し、屋根付きの待合室を利用してパンツを穿き替える。MANGO さんは佐野さんの車の中で着替えた。

歩行時間 0610
休憩時間 0035
合計時間 0645

佐野さんがリポビタン - D を取り出す。「今度は谷で『ファイトーッ、イッパーツ!』をやりましょう」と 2FU さん。実に楽しい谷歩きだった。


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