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<2001年しし座流星群は凄かった!!>

2001年11月19日 0時~5時までの記録

日本では過去100年以上もの間これだけの流星雨は見られなかった!

※このページの一番下には流星発生数グラフも掲載しています。

  ●ここから始まった
 『2001年11月19日、午前3時~4時の間が最も流星が流れるでしょう』。デビッド・アッシャー博士やマックノート氏の予報でした。

●でも流星群の予報は誰も当てたことがないのだ!
 これまで流星群の極大時間(最もたくさん流れる時間)がいろいろな人によって予測されましたが、期待させてくれるだけでいつもガッカリする結果でした。
 ですから、大発生が予測された19日夜は私と一緒に観測したいという一般の天体ファンもいましたが、「ガッカリすると思いますので自宅の庭で見たほうがいいと思いますよ」という冷たい返事をせざるおうえませんでした。

●とにかく晴れないことには始まらない
 天体観測で最も大切なものは何か?それは晴れることです。
 『私が望遠鏡を触ると雨が降る』は今では世界中で認知されたこと、つまり定説です。ですから、しし座流星群までの2ヶ月ほどの間は天体観測を自粛しました(笑)。
 その努力あってか高知県は18日夕方まで雲の多い天気で心配でしたが、22時になると快晴になってくれました。

●観測場所へGo!!
チョット早いかなと思いつつ、午前0時ちょうどにいつもの仁淀川河口近くの観測場所に着きました。
 少し早めに行ったのは、結構明るくなってきたリニア彗星(C/2000 WM1)の撮影をするためです。

●ショッキングな出来事がーーっ
 ところが、ここでトラブル発生です。
 赤道儀を制御しているコネクターの配線が1本切断されているのです。ガガーーーーン!!これでは星の動きを追尾できません。こんな肝心のときに......。自分の不運を嘆きました。やはり、俺はど素人天体写真家か....。

●嘆いている場合じゃない
 撮影が無理ならせめて眼視観測だけでもと思い、天頂近くにあるリニア彗星の方向に望遠鏡を向けました。
 その時です。まるで戦闘機から発射されたミサイルのような流星が火の粉を吹き散らしながら天頂近くから西の空に流れました。滞空時間4秒!
 うわーーっ、もう流れ出した!!
 リニア彗星は撮影のチャンスはまだたくさんある。とにかく流星観測モードに切り替えなきゃ!!

●トラブルなんか吹き飛ばせ
 早い時間帯は流星が地球に対して斜めに突入するのか、ながーく延びる明るい流星がいくつか流れました。
 火の粉を散らして4秒近く飛んでポンッと爆発するものなど多彩です。

 最初のうちは流星観測用の恒星図をプリンターから印刷したものに一つずつ流れた方向と時刻を書き込み、滞空時間まで書き込んでいました。
 しかし徐々に流星の数が増えるにつれ書ききれなくなったので、方針を変更して流れた時刻だけを記録することにしました。40分間程度そのように記録したでしょうか。
 2時過ぎるとさらに流星数が増えてきて、発生時刻を記録することすら困難になってきたので、1分ごとの発生個数を記録する方式に変更しました。時計とにらみ合いです。
 3時を過ぎると数えることすら難しいほどの流星が発生しました。
 もうこの時間帯になるとカメラの操作をやっているヒマはありません。カメラはほったらかしです(こんなことだからいつまでもど素人天体写真かなのです)。ですから、1枚の写真にはたくさんの流星が写っていますが、全体に白っぽくなっています。

●目が魚眼になってきた
 恐らく流星の計数をやってきた人は皆さん『目が魚眼』になっていたはずです(笑)。このときほど魚眼めがねが欲しかったことはありません。そういえば180°全天が見える魚眼眼鏡ってないですよね。『魚眼めがね』を開発して実用新案でも申請しようか?『流星観測者ご用達--魚眼眼鏡』だれも買わないって?まあ、そんなバカなアイデアは置いといて.....。

●数えることすら大変
 それにしても凄い数の流星でした。3時7分には一人で1分間に60個もの流星を数えました。瞬間的に4つも同時に飛んだり、その直後に3つ同時に飛んだりして数えるのが大変でした。そしてふと北の空を振り返ると白い流星痕が流れていたりして、『貴重な流星痕の撮影をしようか、この凄まじい量の流星の計数を優先しようか』とオロオロします。
 凄い量の流星を数えながらも、流星痕の継続時間を計ったりしました。60秒経過してもまだ薄白く形をとどめているものも1つ2つあり、『あの流星痕を撮影していれば貴重な研究資料になっただろうなあ....。』などと自分の決断に疑問が残ります。
 計数に専念するか写真撮影に力を入れるか....。どちらを選んでもすばらしい結果が得られるであろうという贅沢な瞬間でした。
 結局今回は計数に力を入れました。
 その結果はこのページの最下部に掲載してあるものがそれです。3時~4時がピークになっていることがよくわかりますね。
 こんなことだったら、流星発生個数計数プログラムを作っておけばもっと充実したデータが取れたのにと後悔しています。

●流星が徐々に短くなってきた
 2時を過ぎる頃から流星の流れる距離が短くなってきました。長く伸びずに、短い距離をシュッとながれてすぐ消えてしまう流星が多くなりました。そして、しし座の輻射点から線香花火のように飛び散る流星が増えてきました。東の空が明るかったので心配でしたが、とにかく輻射点から飛び散る流星の写真も狙ってみました。

●それにしても寒い
 仁淀川最下流はいつも北風が強いです。外気温はそんなに低くはなく、せいぜい9度~8度だと思ったのですが、風が吹くので体感温度は4度くらいに感じます。高知県人にとってはかなりの冷たさです。
 耐え切れなくなったのでカメラをしし座の輻射点に向けてシャッターを押したまま計数は少しの間休み、車の中で観測しました。
 30分くらい休憩したら復活したのでまた外で計数です。

●流星数が少なくなってきた
 4時になると流星の数が少なくなってきました。少なくなってきたといっても一人で観測して1分間に10個~20個は観測できますから例年の百倍は流れているのです。
 しし座がずいぶん上昇してきたので輻射点からの流星が目立ちます。流星写真は通常の日でも極稀に写ることはあるのですが、一ヶ所から噴出すように飛び散る写真は絶対に撮影できません。こんなチャンスはもう二度と訪れないでしょう。当然カメラも輻射点ねらいです。
 計数に専念していていて、カメラのシャッターを押したことは数枚ほどしか憶えていないのですが、いつのまにか24枚撮りフィルムを取り終えていました。
 5時になると寒さと疲れと眠さが襲ってきました。寝ている場合じゃないのですが、5時間も神経を張り詰めたままでした。いつのまにか車に乗って眠っていました。
 しまった、と思ったのですが、あれだけの天体ショーを見られたのだからまあいいか。

●写真の結果は
 結局24枚撮りフィルムに106個の流星が写っていました。左の写真はその中から主なものを掲載しました。流星痕が写っているものや小さいながらもたくさん飛んでいる写真がまだたくさんあるので、いずれどこかのコーナーに掲載します。
           明るい流星がとんだ


                    ポンとはじける流星も


                   これは明るいぞ


                    緑色に光りピンクに


                      矢のような流星


               流星痕が残った


                  緑色の美しい流星も飛んだ


            徐々に短い流星が多くなった


             しし座の輻射点付近


             流星数が多くなってきた


        一度に飛ぶことも多数あった



このページの天体写真は特に明記しているものを除き、すべて私(Mira)が撮影したものであり、天体写真の著作権はMiraが所有しています。
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