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小惑星(18365) Shimomotoの発見写真 1990年11月18日 2時55分と3時11分の二重露出 中央の斜めにずれているのが小惑星 芸西天文台 関勉氏撮影 60cm F3.5反射望遠鏡 TP6415フィルム |
2005年4月11日 小惑星に私の名前が命名されました 関勉さん(高知市)が1990年11月18日(日本時間)に芸西天文台の60cm反射望遠鏡で発見した小惑星 (18365) 1990 WN5 に、私の名前であるShimomotoがつきました。 IAU(国際天文学連合)が2005年4月9日に発行したMPC(小惑星回報)によると命名文は以下のとおりです。 (18365) Shimomoto = 1990 WN5 Discovered 1990 Nov. 17 by T. Seki at Geisei. Shigeo Shimomoto (b. 1963) is a Japanese amateur astronomer and computer programer. He is the administrator of Comet hunter Seki's webpage. He actively observes comets in Tosa, Kochi prefecture, and encourages the public to learn more about astronomy through his own website. 命名の提案者は発見者である関勉さんで、命名文は東亜天文学会彗星課で活躍する佐藤裕久さん(須賀川市)により作成されました。 佐藤裕久さんが計算したこの小惑星の軌道は以下のとおりで、太陽を中心に非常に綺麗な円軌道で5.23年かけて1周しています。距離は火星より遠いですが、木星より近い軌道です。地球に異常接近したり衝突することはありません。 Orbital elements: (18365) 1990 WN5 = 1972 FF = 1990 UJ7 = 1993 HO Epoch 2005 Aug. 18.0 TT = JDT 2453600.5 Sato M 115.31515 (2000.0) P Q n 0.18829992 Peri. 163.74845 -0.74377642 +0.64808529 a 3.0146434 Node 57.81282 -0.63278405 -0.60380193 e 0.0384361 Incl. 11.14958 -0.21536245 -0.46412141 P 5.23 H 12.0 G 0.15 U 1 地球に最も接近しても16.5等星なので冷却CCDカメラで撮像しても針で突いたような小さな白い点にしか写りません。もし至近距離で見ることができたら、下のようなクレータだらけでゴツゴツした姿をしていて、ゆっくり(または速く)回転していると考えられます。 |
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左は観測衛星から撮像した小惑星 Ida の画像です。 (C) NASA |
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軌道図は、JPL(ジェット推進研究所)の軌道図をご覧ください(Java アプレットが起動します)。 2005年4月中旬はまだ明け方の東の空低空で、光度も18等級なので観測はできませんが、7月下旬になると17.2等ほどまで明るくなるので、CCDでの撮像に挑戦してみます。9月上旬には地球に近づき満月状態になるので、観測の好期です。それでも16.5等までしか明るくならないので、眼視観測は無理ですが、CCDなら楽に撮像できます。小さな白い点がゆっくり宇宙空間を移動していく様子を写す事ができるでしょう。 |
関さんから発見当時の貴重なフィルムをお借りしてきました。左上のフィルムが発見時のものです。数千枚の観測フィルムから掘り出す作業は大変だったとのこと。本当にありがとうございました。 フィルムは67フィルム(55mmX70mm)と結構大きなフィルムです。 書き込まれている日付は日本時間です。 SK-406というコードが見えますが、これは関さんが国際天文学連合に発見報告したときの整理番号です。 フィルム上にたくさんの数字やマークが書き込まれていますが、これは新天体の座標を正確に計算するために必要な情報が書き込まれています。 発見自体も大変な労力が必要ですが、その後の位置の測定と座標の計算も大変なのです。私も以前、関さんと同じような方法で測定したことがありますが、なれても1時間ほどかかり、途中で計算間違いをするし、へとへとに疲れたことでした。座標の計算が不正確だとその後の追跡ができないので、結局他の観測者にとられてしまうか見失うことになります。 新天体をひとつ発見するということは大変な努力の積み重ねが必要です。そうやって認定された天体に、この度私の名前をつけてくださったことに、この上ない感謝と喜びの気持ちをお伝えしたいと思います。 2005年8月7日 自分の機材を使って撮像に挑戦しました 8月7日は塩塚高原の観望会に参加しました。この日の最大の目的は、私の名前がついた小惑星を撮像することでした。 9月上旬に最大光度になるので、まだ暗く写らないかもしれないなあと思いながら、できるだけ高度が高くなるまで待ちました。40分かけて6枚写してアニメーションさせてみると...。 写っていました。画像の中央にあって、斜め右下方向に移動している天体(5枚でアニメーション)です。光度を測定すると16.7等と暗いですが、思ったよりずっと明るく写りました。 初めて自分で撮像した、「小惑星(18365)Shimomoto」です。 小惑星(18365)Shimomoto 2005年8月7日1時34分~2時12分(各1分露出)の5枚をアニメーション 2010年7月18日 芸西天文台の70cm反射で撮像してみました 2008年3月に芸西天文台の望遠鏡が新しくなって以降、初めての撮像のチャンスがやってきました(2009年3月の接近時には事情により観測を中断していた)。 8月中旬に最大光度になるのですが、待ちきれないので望遠鏡を向けてみました。 下の画像は小惑星(18365)Shimomotoを撮像中の70cm反射望遠鏡です。 スリットから見えている星空は、はめ込み合成ではなく、実際のものです。 もし暗かったらいけないと思って10分露出で3枚写してみました。小惑星は彗星と違って見た目が恒星と同じなので、1枚の画像を見ただけではそれとわかりません。3枚写して、アニメーションさせてピコピコ移動しているものを探すのです。 写したその場でアニメーションさせてみると、ありました~。白飛びしそうなほど明るく太い天体がズン、ズン、ズンという感じで移動しているのがすぐわかりました。想像よりはるかに明るく写っていたので驚きました。これなら10秒露出で写りましたね(笑)。 3枚の画像を小惑星の移動に合わせて合成したものが下の画像です。中央の矢印の先にある白い丸い点が小惑星(18365)Shimomotoです。 (中央より右にある縦方向に張り合わせたような線は人工衛星が横切った光跡です。) 次に最も近づくのは2011年10月下旬から11月上旬にかけてです。この時はおうし座とかおひつじ座の近くにあり、高度が68度まで高くなるので写しやすくなります。 2010年10月24日 大きさを計算してみました この小惑星は絶対光度が12.0等と発表されているので、それをもとに直径を計算すると、約13.5kmになりました。小惑星の表面反射率はモノによってかなり異なるのですが、表面の色を観測することは困難なので、正確な反射率を求めることができません。したがって、ごく平均的な反射率で計算しました。 はやぶさ探査機が着地して有名になった小惑星イトカワは長辺の直径が600mとのことですから、22倍以上大きいことになります。 現在発見されている小惑星の多くは直径が2km以下だろうと思います。今後13.5kmもの大きな小惑星の新発見は無いと思います(海王星とかその外を回るものは巨大なものが発見されていますが)。 このように大きな小惑星に名前を付けていただいたのですから、一層成果を残せるようがんばらなければなりません。 |
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