発見直後や観測数がまだ少ない場合、一般軌道が計算できないことや、複数のそれらしい軌道が求まり判断に迷うことがあります。しかし、この段階では、無理して一般軌道を求めるよりも、放物線軌道(離心率(e)=1.0)を想定して計算した方がいろいろな意味で良好な結果となります。追跡観測のためにも十分な精度が得られます。
ここでは、暫定放物線軌道の計算方法と、便利な[自動(A)]ボタンの使い方を説明します。
(1)最初に学習用に観測ファイルをダウンロードします。
このファイルをダウンロード →
CK04Q010.obs
ファイルの拡張子は obs になっていますが、中身はテキストファイルです。
(2)OrbitLifeを起動し、 CK04Q010.obs ファイルを開きます。
(3)[暫定放物線軌道]にチェックマークを入れます。
(4)観測データから任意に3つ選択し、軌道決定します。
ほとんどの観測が1"未満の残差で求まったことと思います。
そして、離心率(e)が1.0の軌道要素が表示されます。
(5)次に、離心率を 1.0(放物線)に固定して改良します。
[離心率(e)を固定]にチェックマークを入れます。離心率が1.0と表示されていることを確認します。
(6)残差を確認しながら[手動(I)]ボタンをクリックしてみます。
平均残差が3"を超える軌道や1"程度の軌道などいくつかが表示され、時々残差が1"未満の良好な軌道が得られると思います。しかし、どれが最良なのか決めづらいほど不安定に軌道要素が変化するはずです。
(7)ここで、便利な[自動(A)]ボタンを使います。
自動ボタンの下にある
[自動停止]にチェックマークを入れて[自動(A)]ボタンをクリックします。すると一瞬だけ画面に[中止]というボタンが現れ、改良された軌道が表示されます。もう一度[自動(A)]ボタンをクリックするとさらに良好な軌道が表示されるはずです。どんどん[自動(A)]ボタンをクリックするとそのうち、画面にはっきり[中止]ボタンが表示され、しばらくコンピュータが計算を続けるようになると思います。
これは、「前回の平均残差より小さな軌道が発見できたら自動的に停止する」機能です。観測初期は軌道がかなりふらつくだけで収束しないので、ちからまかせに計算してみて、良好な軌道を見つけたい場合に便利です。
OrbitLifeが記憶している前回の残差をリセットして、もう一度残差の小さな軌道を探索したい場合は、
[自動停止]のチェックを一度解除し、再度チェックを入れます。
(8)残差の悪い観測はリジェクトしながら、改良を続けます。
(9)[摂動計算あり]にチェックを入れると、摂動計算も可能です。
発見時すでに地球や惑星に大接近している可能性がある場合は暫定放物線軌道で摂動計算します。
また、地球からの距離などを知りたい場合にも活用できます(画面の右側に接近日と接近距離が表示されます)。
その他の操作は一般軌道の場合と同じです。