2003年10月29日(水曜日) 晴れ 【天気が悪いです】 リニア彗星(C/2002 T7)が順調に明るくなり、現在10等級に突入しました。村上茂樹氏(Snyder-Murakami 彗星の発見者)からの連絡によると「惑星状星雲のように比較的輪郭がはっきりしいている」とのことです。私はまだ眼視観測してないのですが、今度透明度の高い夜に眺めてみたいと思います。 下は1260mmの望遠鏡に冷却CCDで撮像したリニア彗星です。まるで小さな星雲のように写ります。 |
2003年10月27日(月曜日) 曇り夜雨 【Tritton彗星は崩壊していない】 てっきり崩壊しかけたと思っていたのですが、大望遠鏡の観測によると分裂はしていないとのことです。大変失礼しました。 さて、エンケ彗星が近づいてきました。年末には最も明るくなり、その頃の光度は6等級と予報されているのですが、太陽方向になるので観測条件が厳しくなります。お勧めは12月上旬の太陽が沈んですぐの西の空での観測です。6等~7等が予報されているので望遠鏡や双眼鏡で眼視観測できます(肉眼ではちょっと無理でしょう)。前回帰の2000年9月頃は彗星と地球の位置関係が悪かったのですが、今回帰は彗星が太陽に近づき明るくなる頃、地球との距離も近くなるので大変良い条件です。 下の画像は1260mmの望遠鏡に取り付けた冷却CCDでの画像です。矢印の先の白い点像がエンケ彗星です。私の望遠鏡ではまだ彗星らしくなく、小惑星か恒星状です。測定ソフトでは15.1等と表示されましたが、もっと明るい感じがします。 |
12月には明るくなるエンケ彗星 |
2003年10月26日(日曜日) 晴れ 【ああ、時間がぜんぜん足りないよー】 25年ぶりに再観測された157P/Tritton彗星が崩壊しつつあるとの情報で気になっていたのですが、久しぶりに撮像できました。恒星追尾の限界の3分露出で2枚写し、コンポジットした上で強調処理と擬似カラー化してみました(単純な処理しかしていません)。先頭部分(左の方)の3つの明るい部分は、画像処理前のものを見ても実在するように感じるのですが、本当のところはどうなのでしょうか? なお、以下の画像は望遠鏡の能力を考慮すると信頼性は低いです。 |
崩壊しつつある157P/Trittonの核 2003年10月26日 2時43分 20cm f/6.3 Sct + CCD |
2003年10月23日(木曜日) 晴れ 【ハッブル宇宙望遠鏡に挑戦】 2002年2月に特異な変光が発見されたいっかくじゅう座の変光星V838 Monを、1年10ヵ月後ぶりにCCDで撮像してみました。少し暗くなってすぐ左側(西)の2つの星が姿を現しました(画像2参照)。 この画像2を見ているとその周囲のちょと広い範囲にリング状に星雲が広がっているような気がしましたので、2枚の画像をコンポジットした上でおもいっきり画像処理してみました。それが画像1ですが、やはり中央の明るい星の上から右側にかけて丸く星雲が広がっているように見えます。これはもしかしてV838 Monが放出したガスでしょうか。昨年ハッブル宇宙望遠鏡が写した画像と見比べてください。 しっかりした追尾システムをお持ちの方は至急この変光星を長時間露出で撮像してみてください。この星雲は中央の星が急激に明るくなったためにその光が星雲に反射しているもののようです。ということは光の速度と星雲が広がる日数(星雲は大昔から実在したと考えられるので実際には星雲に光が到達して反射する日数)を計算すると、この星雲の大きさが計算できますね。 |
(画像1) 強烈な画像処理を施して星雲を強調 (画像2) 通常の画像 中央のわずか下の明るい星がV838 Mon 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月19日(日曜日) 晴れ 【この姿はどこかで見た記憶が】 下は今日写した157P/Tritton彗星の姿です。25年も行方不明になっていて、突然急増光したところを再発見されたのですが、あれから2週間経って3等級も暗くなりました。 この画像を見て「あっ」と思った人も多いのではないでしょうか。この姿は彗星核がバラバラに分解し消滅したC/1999 S4(LINEAR)彗星の崩壊直後の姿に酷似しています。今後どのように変化するのか追跡したいと思います。 過去の画像と観測データは彗星観測日誌 157P/Tritton = C/2003 T1(Tritton) をご覧ください。 |
2003年10月18日(土曜日) 晴れ 【うーーん、風が強い】 永いこと見失われていた特異小惑星 1937 UB(Hermes)を写しました。現在うお座の方角に見え、地球に0.17AUの位置まで接近していて、14.3等とCCDで写せば明るいです。まだ大型の望遠鏡を使っても眼視観測では無理ですね。11月3日頃には地球に約0.048AU(太陽と地球の距離の4.8%)まで接近して長焦点に視野の狭いCCDでは撮影が困難なほどの速度で地球のそばを通り過ぎていきます。ここまで接近する天体は非常に珍しいのですが、衝突を心配するような距離ではないのでご心配なく。最接近時には、どんどん移動していく様子を眼視観測したいと思います。 |
特異小惑星 1937 UB(Hermes) 2003年10月18日 23時30分→23時33分→23時38分 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月17日(金曜日) 晴れ 【帰るころになって快星だ!】 今夜は雲に邪魔されました。深夜1時近くまでねばったのに成果はほんの少しです。雲には勝てません。 下の画像は徐々に明るくなっているリニア彗星 C/2003 K4 です。まだ15.8等と大変暗く、CCDで撮像するのがやっとです。矢印の先にちょっと左側に尾を引いたように見える淡い光芒が判りますか。近づいてよーく見てください。織姫星(こと座のベガ)とひこ星(わし座のアルタイル)のちょうど中間にある天の川をまるで川下りをするように南へ向かっています。 |
2003年10月13日(月曜日) 曇り時々雨 2003年10月11日(土曜日) 曇り時々雨 2003年10月10日(金曜日) 曇り 【このページが重たくなってきました。なるべくリンク形式にします】 昨日の早朝に彗星観測者にとってはビッグなニュースが飛び込んできました。25年間その行方がわからなくなっていて、見失われた彗星の仲間入りをしていた D/1978 C2(Tritton) がふたたび発見されました。しかも13等級という、CCDを用いれば3秒でも写ってしまうほどの明るさで。この彗星は太陽を6.45年で1周するので、発見以降4周目にしての再発見です。その間は硬い殻に覆われて光り輝くことができなかったのでしょうか?今回ふたたび太陽に近づいたことで熱せられて、殻のようなものが取り払われたのでしょう。太陽、彗星、地球の3つの位置関係から計算すると、現在もっとも明るく見られるはずです。徐々に暗くなるでしょう。次の回帰には果たして見られるのでしょうか。 画像と観測データは彗星観測日誌 157P/Tritton = C/2003 T1(Tritton) の方に掲載しましたのでご覧ください。。 |
2003年10月7日(火曜日) 曇り夜も曇り 【南国土佐も少し寒くなりました】 下の画像は天文ファンなら知らない人がいないほど有名な天体です。一般には10倍ほど広い範囲を写した写真が知られていますが、ベテランの先輩方と同じことをやっていては面白くないと思い、思い切って2000mmの直焦点を用いて短時間で撮影した上でさらにトリミングして画像処理してみました。星雲の最も明るい部分がどうなっているのか調べてみたかったのです。散光星雲なのですが、中心の星の左には砂時計状にまるでジェットを吐き出しているかのような情景が写っています。横向いた犬のように見えますね。私が命名しましょう「犬星雲」。「○×△□、ブーーブーー」。 |
灼熱の水素ガスが充満するM8散光星雲の中心部 |
2003年10月6日(月曜日) 曇り時々小雨 【メールが静かだ.....。日曜日はみんなお休みモード?】 冷却CCDを入手して以降観測数が劇的に増えたので、このコーナーで紹介しきれなくなってしまいました。そこで自分の観測データの整理もかねて新コーナー「彗星観測日誌」を作成しました。ひとりごとのコーナーに書ききれない情報も掲載していますので、こちらの方もごらん頂けたらと思います。ただ、どうしても観測者向けのページとなってしまい、入門者の方には親しみづらいかもしれません。その部分はひとりごとのコーナーでやさしく解説したいと思います。 下の画像は、いて座の球状星団M22です。え?球状星団ばかり撮ってるじゃないかって?そうなんです。2000mmの直焦点に小さなCCDチップだと横幅はわずかに12分角なので、大きな散光星雲や散開星団は視野からはみ出してしまうのです。その点、球状星団はちょうどうまい具合に収まるのです。なにより私自身が球状星団が大好きという理由があります。眼視で望遠鏡を覗くと粒粒のぼーっとした不思議な物体に感じます。こうして画像を見ると小さく感じますが、とんでもなく大きな天体なんですよ。 |
いて座のM22球状星団 2003年9月27日 20時17分 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月5日(日曜日) 晴れのち曇り 【塩塚高原は晴れました】 すぐに雲が発生するものの、深夜0時を過ぎる頃には晴れ間が多くなってきました。雲がない方向に向けてやっと導入し、これから撮像を開始しようとするとわっと雲がわいてきてなかなか写すことができません。2時頃になると雲が少なくなり安定してきました。 今後明るくなることが予報されている彗星 C/2002 T7(LINEAR)を撮像してみました。現在ぎょしゃ座にあり、14.1等(核光度)で輝いています。下の画像は1分露出の画像3枚を彗星の移動に合わせてコンポジットしてあります。関さんによるともう眼視でよく見えるとのことだったので、参加メンバーであるkuboさん所有の28cmシュミットカセグレンを向けてみましたが、どれが彗星かまったくわかりませんでした。全光度が12等級~11等級だと思うので見えなくはなかったはずですが、たぶん恒星状だったのでしょう。この彗星は2004年4月~5月に肉眼で見られる可能性があります。 |
C/2002 T7(LINEAR) 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月4日(土曜日) 晴れ 【塩塚高原は完全曇り】 塩塚高原(標高1000m)で天体観測+宴会をやっています。暗くなってすぐは星が見えていましたが、そのうち分厚い黒い雲が全体を覆ってきました。「これは雨が降るんじゃないかなあ...」空港関係者のO氏がボソッと言いました。本当にそんな感じの天気です(ヤバイです)。 食事をしながらいろんな話をしているうちに22時頃には一部に星が見えてきました。月明かりがありますがたくさんの星が見え、透明度が高いことがわかります。 とにかく、晴れているところから順番に撮像しなければなりません。まずは うお座のUGC 327に発見されたばかりの超新星 2003ip を撮像してみました。うーーん、これは小さな星雲ですねえ。2000mmで撮像しているのに米粒のようです。すぐ左に写っている小さな星が2003ipです。16.4等と光度を保っています。 その左下にこれまた小さな系外星雲のような天体が写っていますが、これはなんという天体でしょうか?もちろん、メシエ番号はついていませんし、NGC番号もUGC番号も付いていないようです。 |
超新星 2003ip (UGC 327) 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月3日(金曜日) 晴れ 【朝起きると完全曇り】 下の写真はペリカン星雲のように写ってしまいましたが、実は夏の天の川の中に位置するM17散光星雲です(ピンボケですが)。カラー写真での赤白く美しいガスの天体として有名ですが、今回は2000mmという長焦点に視野の狭い白黒のCCDで撮像したので、見慣れているM17とはまた違った姿を見せています。 望遠鏡を覗くと、この画像をすごく薄くした感じに見えます。カラー写真だと赤白く写るのですが、眼視だと色は感じず、白黒の世界なんです。 |
M17(散光星雲) 2003年9月28日 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月2日(木曜日) 晴れ 【晴天が続きますが観測はお休みです】 ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で有名な NGC 2207 + IC 2163 を撮像してみました(HSTの画像はこちら)。1分露出でも結構写りますねえ。2つの巨大な銀河(星の集団)が衝突しているところです。おおいぬ座(大犬の前足の付近)にあるのでこれから撮影がしやすくなります。望遠鏡をのぞいてみましたが、見えませんでした。光度は10.7等なので、透明度が高く暗い夜には中心部の最も明るい部分なら見えるはずです。 追尾精度が悪く、どうしても流れてしまいます。セルフガイドができるSBIGの冷却CCDが欲しくなりましたが、大変高価なので買えません。ガイド鏡によるオートガイドをやればもっと長時間の露出ができると思うのですが、2つの視野の狭いCCDに天体を導入する作業が重労働なんですよねえ。導入しているうちに夜が明けそうです。 |
NGC 2207 + IC 2163 2003年9月28日 4時15分頃 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年10月1日(水曜日) 晴れ 【夜になると煙たい空になります】 今日も日中は透明度の高い青空が広がり、今夜の星空を期待させましたが、夜になると煙で覆われたようになりました。 観測データや画像が徐々に増えてきました。パソコンに眠らせておくのはもったいないので新しいコーナーを作成中です。「観測日誌」っていうタイトルにしようななあ。こんな感じのページです。何かのお役に立てばよいのですが。 |
当ウェッブページの写真は、特に著作権表示のないものは、私(Mira)が所有しています。
星図や天体の軌道図はAstroArts社のStellaNavigator for Windows 95の画面から作成しています。
Copyright © 1998-2003 Mira.