<木星を見よう>



 あなたが、小学生や中学生の時に買ってもらった天体望遠鏡が倉庫に眠っていませんか?レンズの直径が4cmから6cm程度の小型望遠鏡さえあれば木星はもちろん、木星の周りを回っている衛星4個までもが鮮明に見えるんですよ!さあ、ほこりをはらってもう一度観測してみましょう。

木星のドアップ写真


大発見!

 両手の中にスッポリ入る小さな双眼鏡でも、木星の衛星がはっきり見えるんです。
 カメラ屋さんの店頭で4,000円~5,000円で売っている小さな双眼鏡(Kenko製)です。こんな小さなタイプの双眼鏡は結構倍率が高いので非常に暗く、天体観測には不向きなのであまり用いることはないのですが、天体撮影の露出中は暇(オートガイダーはありがたい)なので、何気なく木星を見てみました。木星の周囲に針の先で突いたような小さな光の点がいくつか見えるではありませんか!最初は「木星の周囲にたくさんの恒星があるのかなあ?」と思ったのですが、今度は車の一部に双眼鏡をくっつけて、手ぶれを少なくしてもう一度見てみました。間違いありません。恒星じゃなく木星の衛星です。衛星は岩石でできており、大気にも覆われていないので、太陽光線の反射率が高いのでしょう。視野の中央にこじんまりと収まった木星とその衛星がはっきりと観測できました。小型双眼鏡を持っている方はぜひ、下の解説を参考にして木星を覗いてみてください。


[木星と土星の写真]  1999年10月末、21時頃に撮影した木星と土星です。右上の明るい星が木星、左下の少し暗い星が土星です。
 200mm望遠レンズで撮影していますが、木星と土星周辺を集中して眺めたときの雰囲気もこんな感じで見られます。
 土星のすぐ左上には10月3日に発見されたばかりのリニア彗星C/1999 T3(LINEAR)が17等級で移動しているはずです(200mmでは写りませんが)。


<木星とその衛星>

 下の写真は1998年9月7日20:30頃1,300mm直焦点で撮影しました。木星の衛星が一斉に右側に集中したときの写真です。(めずらしい現象ではありませんが)

[木星と衛星の写真]


<満月と木星>

 満月の右上にある星が木星です。
1998年9月7日20:10頃50mm標準レンズで撮影しました。


[月と木星の写真]

木星の見つけ方


11月中旬の高知県の場合

 暗くなると、すでに東の空に木星が昇っています。明るさは-2.9等星で非常に明るいので見間違うことはありません。周辺でもっとも明るい星が木星です。

 今シーズンは2000年4月ころまで観測できます。そして2000年4月7日には夕方の西の空で木星と火星の角距離がわずか1°まで接近します。1枚の写真に木星と火星を撮影するのもおもしろそうです。

 20cmのシュミットカセグレン(100倍から200倍程度)で観測した場合、上の写真よりもはるかに鮮明に縞模様が観測できます。大気の状態が良い場合は縞模様の周辺が渦を巻いている様子まで観測することができます。


木星データ


  • 9月上旬現在の光度-2.9等  視直径49''.7
  • 軌道長半径   5.2026AU
  • 公転周期    11.86年
  • 軌道傾斜角   1.30度
  • 離心率      0.0485
  • 赤道傾斜角   3.1度
  • 自転周期    0.414日
  • 軌道半径    71492km
  • 視半径      23.46″
  • 質量(地球=1) 317.83
  • 極大光度    -2.8等級
  • 平均比重    1.33
  • 扁平率      0.065
  • 衛星数      16
  • 会合周期    398.9日
  • 解説
    • 太陽系の第5惑星。
    • 太陽系でもっとも大きな惑星で、直径は地球の約11倍です。
    • 木星はアンモニアやメタンの厚い雲に覆われていて、赤道に平行な何本もの帯線が走っています。
    • 南半球には、地球2個分もある巨大なホクロ「大赤斑」があります。左上の木星写真には残念ながら写っていません。
    • 木星表面の温度は-140℃くらいで非常に寒いです。
    • 木星には地面がありません。気体だけでできているんです。その証拠に、木星の自転周期は、赤道付近とそれ以外の緯度では異なっていて、赤道付近で9時間50分、それ以外で9時間55分程度です。
    • 木星には衛星は4個しかないと思っている人はいませんか?実は16個もの衛星があるんです。その中のイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4個の衛星は特に大きく、小型の望遠鏡や双眼鏡でもはっきり観測できます。
    • 木星にもリングがあるんです。土星のリングは太陽光線を強く反射しているため、小型の望遠鏡でも良く見えますが、木星のリングは非常に薄いようで、通常の条件では観測できません。



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