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Tycho超新星(1572年)の伴星Tycho-G


 1572年にカシオペア座で大爆発した超新星(ティコの超新星)の伴星が特定されたというニュース(AstroArts天文ニュース2004年11月15日)が以前に流れていましたので、私の観測機器で写すとどんな感じになるのだろうという興味本位で写してみました。
 ハッブル宇宙望遠鏡やチャンドラ宇宙望遠鏡でのすばらしい画像はよくウェッブページで公開されるのですが、正確な位置や画角、明るさなどは記載されないので実感しづらいんです。やはり、自分でその位置を写してみて比較することによって一層の理解が深まると思ったのです。
 非常に暗い可能性があるので、月が出る前の暗い空で、20cmのシュミットカセグレン望遠鏡に冷却CCDカメラを取り付け3分間露出してみました(私はガイド修正システムを持ってないので、モータドライブ任せのノータッチガイドです。奇跡的に3分間、完璧にガイドしてくれました)。

 チャンドラエックス線観測装置の画像と比較すること2時間。やっとマッチングできました。
 下に私が写した画像(白黒画像)にチャンドラエックス腺観測装置のカラー合成画像を交互に表示させてみました。Tycho-Gというのが超新星の伴星です(ちなみに、爆発した星の位置にはなにも残っていません)。

 私の画像とチャンドラの画像を比較すると、チャンドラの解像度の高さが理解できます。さらに下(右画像)のハッブル宇宙望遠鏡の画像と比較すると、その解像度のすばらしさも実感できます。

 伴星Tycho-Gの位置を精密に測定してみました。誤差は±0.3"以内(1ピクセルの1/10程度)だと思います。
Tycho-G    
2004年12月2日
    R.A    00 25 23.62
  Decl. +64 08 02.9
  光度   17.9等
 この星はUSNO A2.0恒星カタログに掲載されている既知の恒星でした。USNO A2.0カタログが示す位置とこの画像に写っている星の位置は見た目ではピッタリ一致しているので、ハッブル宇宙望遠鏡の解像度をもって観測しないとわからないほど微妙に移動しているのでしょう。

 ちょっと残念だったのは、チャンドラが写したエックス線画像の超新星残骸が少しでも写ればと思っていたのですが、まったく気配すらありません。やはり、地球上の光学望遠鏡では写らないみたいですね。

 主星を失い軌道を外れたこの伴星は今後どのような運命をたどるのでしょうか。いろいろな旅をし、他の恒星の重力圏に入りペア(重星)になるのでしょうか。それとも星間を移動しているうちに自らが超新星爆発して一生を終えてしまうのか....。はたまた美しい惑星状星雲になって静かに生涯を終えるのでしょうか。

 これも我々の銀河(天の川銀河)の内部でのできごとです。









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