2003年11月30日(日曜日) 曇り 【エンケ彗星が気になります】 台風の影響で悪天候が続いています。明日は観測ができるかな? 10月19日のこのコーナーに掲載した、いっかくじゅう座の変光星 V838 Mon ですが、23日に南中して条件が良くなったところで撮像してみました。今回は変光星の周囲をとりまく星雲が明瞭に写りました。 この星もどんどんガスを吐き出しやがて暗く小さくなり一生を終えるのでしょうか。そして、そのガスの中からふたたび新しい星がいくつか生まれ明るく輝くのでしょうね。 太陽系の母なる星(又は祖母なる星)は超新星爆発して生涯を終えたはずです。そしてガスやチリの中から太陽が生まれ、太陽の重力によってガスやちり、金属や岩石などが回転を始め、やがてぶつかり合い合体して太陽系の惑星が生まれました。水はちりと合体し冷やされて彗星となり、岩石や金属の塊は小惑星として太陽系を回っています。 我々の太陽もいずれは肥大化し、太陽系の惑星を飲み込み、このV838 Monのようにガスを噴出しながら生涯を終えるのでしょう。そして、そのガスから次の星たちがうまれます。 こんな壮大な宇宙のドラマと向かい合うことができるのが天体観測の魅力です。 |
ガスを噴出す V838 Mon (いっかくじゅう座の変光星) 2003年11月23日 1分露出(2x2ビニング)を3枚コンポジット CELESTRON C8 (f/6.3=1260mm) BITRAN BT-10 |
2003年11月29日(土曜日) 雨 【久々の飲み会】 今夜はパソコンを教えている5人の女性が私の天文台コード取得と北半球最初のTabur彗星の観測成功のお祝いとして飲み会を開いてくれました。まあ、それは口実ですが(笑)。天文の話を聞きながらお酒でも飲もうという企画のようでした。しゃべりまくりましたよ。宇宙の話、太陽系の話、彗星や小惑星の話。パソコン教室より盛り上がりました。話に夢中になりお酒飲むの忘れてました。(ずいぶん飲んでたじゃないかって?)。 それと、何人かは和服でビシッと決めてきたのでびっくりしました。いいですねえ、和服は。日本女性は和服が一番似合いますね。 通 達 今後はパソコン教室は和服での参加とします。 (冗談ですよ) 下の画像は先日の超新星とはまったく関係ないのですが、2003年2月25日にエリダヌス座の方角にある系外銀河MGC -05-10-15に発生した超新星の画像です。発見当時は15.0等でしたが、9ヶ月たった今でも17等に近い16等級で輝いています。わずか1分露出なのでノイズレベルぎりぎりになってしまいました。ボーナス当て込みでオフアキシスガイドユニットを物色しています。このガイドシステムがうまくいくと10分でも30分でも露出がかけられるようになるので、一気に画質が向上します。 |
2003年11月28日(金曜日) 雨 【雨。雨。雨......。】 先ほど国際天文電報中央局から飛び込んできたe-mailによると、系外銀河MGC-02-16-2に14.8等の超新星が発見されたとのこと。そのSN 2003kf の位置はR.A. = 6h04m35s.42、 Decl. =-12o37'42".8で、銀河の中央から9.2"東で、14.3"南の位置です。14.8等は眼視で観測できるほどの明るさではありませんが、超新星としてはかなり明るい方です。大急ぎで観測したいのですが、天気が悪いですねえ。 この明るさだったら運がよければ私でも発見できたか?時々系外銀河をたくさん写しては超新星が写ってないか調べています。最初の頃は慣れないので全然面白くない作業でしたが、今は宝くじの当選番号を調べるような楽しさがあります。もちろん、発見しても1円のお金ももらえませんし、名前も付きませんけどね。でも天文雑誌にはカラー写真つきのページで大々的に紹介されて、どこかの学会の新天体発見賞がもらえるかもしれません。本当に宝くじに当たるくらいの確率ですが。 下の画像はM108星雲で、たくさんの星の集まりです。周囲に写っているたくさんの星よりもはるか遠くにあります。 |
M108 2003年11月23日 1分露出(2x2ビニング) CELESTRON C8 (f/6.3=1260mm) BITRAN BT-10 |
2003年11月26日(水曜日) 晴れ夜曇り 【あれー、曇ってしまった】 数日前からラジオで椎名林檎さんが歌う「りんごのうた」がやたら流れています。変な歌詞なので最初は清涼飲料メーカーのCMソングかな?と思ったのですが、なんでも、NHKの「みんなのうた」で流れているのだとか。平井堅氏が歌った「大きな古時計」に次ぐ大ヒットの予感です。ちょっともの悲しい旋律がいいですね。バックに流れるアコースティックギターの伴奏もいいですね。これくらいだったら私にも伴奏ができそうですが、歌が半音階の進行が続くので音痴の私は歌えそうにありません。この曲の原曲を聞いてみたくなりました。オリジナル曲でしょうかね? 下の画像は明け方少し明るくなってから写したM64星雲です。初めてこの星雲を写してみたのですが、結構特徴が良く出ています。おとめ座、しし座、コップ座、かみのけ座など冬の星座には私のCCDにちょうど良い大きさで収まる星雲がたくさんあるのでこれからの季節が楽しみです。風にも負けずガンガン撮りますよーーっ。 |
M64 黒目星雲 2003年11月23日 1分露出(2x2ビニング) 2枚をコンポジット CELESTRON C8 (f/6.3=1260mm) BITRAN BT-10 |
2003年11月24日(月曜日) 曇りのち雨 【久々のおめでたい席】 不幸な席に20回くらい連続参列していましたが、やっとおめでたい席に招待されました。会社の女性社員が結婚することになり披露宴に呼ばれました。いいですねえ。末永くお幸せに....。 土曜日は徹夜観測でした。透明度は今ひとつでしたが、雲ひとつない天気に恵まれました。でもこれからの寒い季節は風との闘いになります。風が吹くと星が金平糖になってしまうのです。CCDの撮像開始とともに、寒さよけの毛布を両手で広げて望遠鏡の風上に立って望遠鏡を風から守ります。1分露出なのでどうにか大丈夫ですが、時々3分露出をやると腕が疲れてもう大変です。まあ、こんなことを朝までやるので疲労します。風がないときは座りっぱなしで撮像できるし、寒さよけの毛布をかぶっているので楽なんですけどね。こんなときは観測所がほしくなります。 明け方の東の空に昇ってくるようになったM104(ソンブレロ星雲)を初めて撮ってみました。わずか1分の露出ですが、思ったよりずっと良く写ってくれました。銀河系の外にある銀河でたくさんの恒星があつまってこのような姿に見えます。 |
M104 ソンブレロ星雲 2003年11月23日 1分露出(2x2ビニング) 4枚をコンポジット CELESTRON C8 (f/6.3=1260mm) BITRAN BT-10 |
2003年11月20日(木曜日) 雨 2003年11月18日(火曜日) 晴れのち曇り、夜時々雨 【CCDが絶好調】 リニア彗星(C/2002 T7)が20cm f/10の眼視でもボーッとした彗星状に見られるようになりました。入門者にも判別できると思います。 10月28日のこのコーナーのものと比べてください。同じ撮像条件ですが、こんなに大きく、明るくなりました。尾が少し弧を描いています。 望遠レンズで5分~10分も露出すれば美しいカラー写真が撮れると思います。 エンケ彗星はまだそんなに明るくない感じでした。 冷却CCDは今夜は一度も暴走しませんでした。対策成功です。転送速度が少し遅くなった感じがしますが、まあ良いでしょう。 |
2003年11月15日(土曜日) 曇り時々晴れ 【やっと解決できました】 私はBITRANの冷却CCDカメラ BT-10 を使っているのですが、8月に入手して以来、撮像中にソフトが停止する問題に悩んでいました。標準設定だとCCDからパソコンへの画像転送がまったくできないので、「少し高速」というモードで撮像していました。これだとどうにか撮像できるのです。ところが大事なときに限ってソフトが無反応になります。撮像中に無反応になるとCtrl+Alt+Delで撮像用ソフトだけ起動しなおすのですが、画像が消失する上に、BT-100コントローラの電源を入れなおさないといけないので、せっかく冷却したCCDをもう一度冷却しなおさないといけません。 でも、今日プログラムフォルダーにあったトラブル対応の技術文書を読みながら設定ファイルを手動で書き換えながら、いくつかのパターンを試行した結果、ばっちり動作する組み合わせを見つけました。その後10時間連続稼動させ、1時間露出も何度かやり、1秒露出を数百回繰り返しましたが完璧に動作してくれました。少し転送速度が遅くなったかなという気がしなくはないですが、無反応になるよりはずっとましです。 これで全自動撮像モードが安心して活用できます。冬の寒い日は全自動モードで撮像し、その間は車の中で体力の回復が行えます。 下はカシオペア座とアンドロメダ座の境界付近にある系外銀河 NGC278です。小さいですが明るい銀河です。10.9等なので望遠鏡を覗くと非常に暗い彗星のように見られるかもしれません。 |
NGC 278 2003年12月13日 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年11月14日(金曜日) 曇り時々晴れ 【年賀状の季節だ】 久しぶりのパソコン教室です。プレインストール版の筆ぐるめV10を使って年賀状作成講座となりました。私自身、筆ぐるめは昨年購入しましたが全然使わないので使い方が良くわかりません。大慌てで勉強しましたよ。どうにか説明できました。最近は教室の皆さんもパソコンの多彩な使い方を覚えてきたので、いろんなソフトを買ってきて「どうやって使うの?」って質問ざめにあいます。もう、見たこともないソフトばっかり持ってきます(笑)。そんなときは長年の経験と間で知ってる風に触りながら説明します。 私のパソコン教室はパソコンショップがやっているようなひとつのことを全員に教えるのではなく、3人くらいに別々の話を同時にします。人によってやりたいことが違うからです。AさんにはWordの使い方を説明しながら、同時にBさんにインターネットの説明を、Cさんにはマルチメディアの話をします。3ヶ国語同時通訳の雰囲気で、目と指と口が別々の方向を向きます。これは大変です!(笑) 口コミで輪が広がり、人付き合いの範囲が広がりつつあります。 お金はガソリン代しかもらってません! >会社関係者へ |
2003年11月13日(木曜日) 晴れ時々曇り 【久しぶりの観測】 2週間ぶりに観測できました。22時頃までは雲が多かったのですが、それ以降は快晴になりました。 近づいてきたエンケ彗星に集中して撮像しました。赤道儀の追尾精度が悪く、なかなか点像にならず3時間以上かけて100枚近く撮像したのですが、保存したのはわずか18枚です。雲と風と追尾の悪さと撮像用ソフトのフリーズとの戦いです。どうにかその中から精度の高そうな6観測をMPC(小惑星センター)に報告しました。 画像と観測データは彗星観測日誌 2P/Enckeに掲載しました。 下の画像は有名なアンドロメダ大星雲M31です。でも皆さんがいつも見ている姿とはちょっと違いますか?2000mmの長焦点望遠鏡を使って、アンドロメダ大星雲の中心部分に発見された超新星と新星を同時に撮像しようとしたのですが、分解能が足りなくて星雲にうずもれています。見慣れている全域は縦横3倍に広げた感じでしょうか。ですからいつもは明るくて白く飛んでいる部分に注目したわけです。この画像でも中心から54”南東にある恒星までは写っていますが、それより近くの星は写りませんでした。 |
M31(アンドロメダ座)の中心部 2003年12月13日 1分露出(2x2ビニング) 望遠鏡:CELESTRON C8 (F10=2000mm) 冷却CCDカメラ:BITRAN BT-10 |
2003年11月12日(水曜日) 晴れ時々曇り 2003年11月11日(火曜日) 曇り時々晴れ 2003年11月10日(月曜日) 雨 2003年11月9日(日曜日) 曇り時々雨 【悪天候が続きます】 31日以降星が見られません。 最近はf/10->f/6.3に焦点距離を短くするレデューサをつけて撮像しています。f/10=2000mmに小さなCCDチップだと導入に時間がかかりすぎてあまり観測ができないのです。それが、f/6.3=1260mmだと非常に楽に導入できます。ほぼ完璧にCCDのどこかにターゲットが入ってくれます。測定精度が心配だったのですが、実際にやってみると良好な結果が出ています。 観測中はほとんどは彗星や小惑星のような移動天体を狙いますが、時間に余裕があるとNGCなどの小さな星雲を順番に撮像していきます。メシエ天体は大きすぎて画像からはみ出してしまうのです。撮像したNGC天体はDSSなどで比較し、超新星が写ってないかチェックします。この作業はあまりおもしろくないのでいずれ挫折するでしょう(笑)。 下のような天体も時々撮像します。やぎ座の球状星団 M30 です。球状星団は見た目が小さいのできれいに収まってくれます。いずれRGB分解撮像してカラー画像を得てみたいと思っています。 |
M30(球状星団) CELESTRON C8 (20cm f/10->f/6.3) BITRAN BT-10 1分露出 |
2003年11月2日(日曜日) 小雨のち曇り 【わずか11分間にかけた想い】 南半球で発見されたTabur彗星(C/2003 T3)ですが、徐々に北上しています。MPECにはまだ南半球の観測所からの報告しかありませんが、高知県からだと暗くなってすぐの南の空(わずか) 3°の高さに見えるはずです。 そこで、北半球最初の観測を目指しました。10月29日は仕事が終わって車を走らせましたが帰宅ラッシュに巻き込まれて、あと数分と言うところで間に合いませんでした。30日はラッシュに巻き込まれないように工夫をしてどうにか間に合いました。昼間少しあった雲はなくなっており、快晴に恵まれました。それに南の洋上にまったく雲がないことはかなり珍しいことです。わずか2°~3°を狙うのですから、ほんのわずかな雲があってもそれらが重なると濃い雲になるので当日は幸運でした。ただ空気が汚く南の水平線近くは茶色でした。14等級の淡い光がこの汚い空気を通過してCCDに到達するのだろうか? ここからはまるで救助訓練のように1秒を争う雰囲気でした。しかもきわめて正確な操作をしなければなりません。 途中経過はこちらをご覧ください。 31日になって本格的に測定を始めました。あまりにも低空なので画質が悪く位置測定は困難を極めました。途中であきらめて「測定不能」の報告をしようかと思いましたが、いろいろパラメータを調整しながら長時間かけてどうにか4つの位置データを佐藤裕久氏に送りました。すぐに佐藤氏の軌道計算により、Tabur彗星に間違いないという返事と測定の残差が届きました。嬉しさがこみ上げてきました。 その確認を受けて精度の高そうな位置データ2つをMPC(国際天文学連合・小惑星センター)と小惑星センターでアソシエイツを勤める中野主一氏(洲本)に送信しました。 2日午前3時5分、中野主一氏から、私が検出に成功したことが書かれた回報が送られてきました。添付された同彗星の観測データを見ると北半球からの最初の報告になっていました。まだ実績の少ない駆け出し観測者の私がこのような回報に名前が載ることは大変励みになります。 「一番乗り」しただけのことなので、なんら天文学的に価値のあるものではないのですが、目標を達成できた喜びは大きかったです。 |
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