ORBITLIFE V2.0.7 ORBIT DETERMINATION
VERSION
2.0.7
FORMATS
4保存形式
EXT
.IMP4形式とも
PRECISION
17桁 / %.17g
ANGLE
rad再現用ファイル
RESTORE
_EX読み込むのはこれ

SAVE & RESTORE  ·  [ファイル] → [軌道改良結果を保存]

数時間かけた解を、あとから丸ごと戻す。

保存形式は4つありますが、目的の違いが大きいのは2つです。ひとつは MPC 8行形式。 MPEC に準じた書式で書き出すので、そのまま人に渡せます。 もうひとつが OrbitLife形式(再現用)。桁を落とさず、そのうえ どう解いたかの設定まで書いておくものです。次に開いたとき、同じ解が同じ条件で戻ります。

§01 SAVE

保存のしかた。

[ファイル] → [軌道改良結果を保存]。[名前を付けて保存]が開いたら、 左下で保存形式を選んでから [保存] を押します。

MENUファイル → 軌道改良結果を保存
OrbitLife の [ファイル] メニューを開いたところ。[軌道改良結果を保存(S)] が赤枠で示され、背後に C/2014 Q2 (Lovejoy) の軌道要素、Epoch 2016年10月19.0日 TT = JDT 2457680.5、e 0.9976485、軌道分類 長周期彗星 TJ=0.25、[積分間隔][自動]の[決定値]0.5日 が見えている

観測ファイルを開くのと同じメニューです。背後は C/2014 Q2 (Lovejoy)。 §03 で保存するのがこの解です。

DIALOG保存形式を選ぶ
[名前を付けて保存]ダイアログ。左下の保存形式に MPC 8行形式・MPC 1行形式・残差チェック形式・OrbitLife形式(再現用) の4つが並び、MPC 8行形式が赤枠で選ばれている。ファイル名 K26R03W_E20260828.IMP と [保存(S)] ボタンにも赤枠が付き、下端に「MPC 8行形式で軌道要素と残差を保存します。」と出ている

形式を選ぶと、ダイアログの下端の1行が入れ替わります。 いま何を書き出そうとしているのかは、押す前にここで確かめられます。
この1枚だけ別の天体(2026 RW3)で、中身は §02 で見ます。

拡張子
4形式とも .IMP中身は形式ごとに違いますが、拡張子は共通です。あとで見分けるのはファイル名になります。
ファイル名
自動で入ります天体の詰め書きの仮符号と元期からできた名前が、はじめから入っています(再現用形式では、さらに解き方と形式を表す末尾が付きます —— §03)。上の K26R03W_E20260828.IMP は、2026 RW3 の元期 2026年8月28日の解です。もちろん打ち替えて構いません。
この4つ
MPC 8行形式 / MPC 1行形式 / 残差チェック形式 / OrbitLife形式(再現用)このページで説明するのは、いちばん上といちばん下の2つです。
§02 MPC 8-LINE

人に渡すほうの形式。

「MPC 8行形式で軌道要素と残差を保存します。」—— MPEC に掲載されるのに準じた書式です。書き出したものをそのまま貼れるので、 情報交換に向いています。中身はただのテキストで、エディタで開けます。

MPC 8行形式で保存したファイルをテキストエディタで開いたところ。2026 RW3、Epoch 2026 Aug. 28.0 TT = JDT 2461280.5、n 0.83880209、a 1.1135158、e 0.3279583、Peri. 92.72071、Node 346.98441、Incl. 3.03617 と P・Q ベクトルが並び、続いて Delta(T) から Delta(P) までの誤差、最後に「>From 31 observations 2026 Sep. 8-9, mean residual 1″.35.」の行がある
2026 RW3 の解。この下に、観測1行ごとの残差が観測所コードつきで続きます —— 画面はその手前まで。
1〜8行目
軌道要素天体名、元期(TT と JDT の両方)、平均近点角 M・平均日々運動 n・軌道長半径 a・離心率 e・公転周期 P、近日点引数 Peri.・昇交点黄経 Node・軌道傾斜角 Incl.、そしてP・Q ベクトル。右肩には計算した人の名前が入ります。
10行目
1/a と距離逆長半径を形式誤差つきで。その横に r と Q。放物線に近い彗星では、1/a の符号と形式誤差がその軌道が本当に楕円かどうかの目安になります。
12〜21行目
各要素の形式誤差Delta(T)・Delta(Peri)・Delta(Node)・Delta(Inc)・Delta(q)・Delta(e)・Delta(a)・Delta(n)・Delta(P)。周期は年と日の両方で出ます。残差が小さいことと、要素が決まっていることは別です。ここを見ないと分かりません。
23行目
観測の要約採用した観測数、その期間、平均残差。上の例は「31観測、2026年9月8〜9日、平均残差 1″.35」。2日ぶんしかないことが、この1行で分かります。
24行目以降
観測ごとの残差日付・観測所コード・赤経と赤緯の残差が3列に並びます。どの観測が効いているかを渡した相手も確かめられる、というのがこの書式の意図です。
§03 REPRODUCIBLE

自分が戻るほうの形式。

「求めた解をそのまま復元できる桁数で保存します(MPCの書式ではありません)。」—— こちらは人に渡すためのものではありません。OrbitLife が自分で読み直すためのものです。 題材は C/2014 Q2 (Lovejoy)。非重力効果を解いた解を保存します。

DIALOGOrbitLife形式(再現用)
[名前を付けて保存]ダイアログで保存形式の OrbitLife形式(再現用) が赤枠で選ばれている。ファイル名は CK14Q020_E20161019_A1_EX.IMP で、そのうち A1 の2文字が赤い丸で囲まれている。下端に「求めた解をそのまま復元できる桁数で保存します(MPCの書式ではありません)。」と出ている

CK14Q020_E20161019_A1_EX.IMP —— C/2014 Q2 の詰め書きが CK14Q020、元期が 2016年10月19日、 丸で囲んだ A1 が非重力効果の種類、末尾の EX が再現用の印です。

TEXT中身(抜粋)
再現用ファイルをテキストエディタで開いたところ。先頭に書式の説明が3行あり、Object = C/2014 Q2 (Lovejoy)、PackNames = CK14Q020、ObsFile、SavedAt が並ぶ。そのあとに Epoch・T・q・e と、ラジアンで書かれた Peri・Node・Incl が続き、さらに Effect・NonGravModel・A1・A2・A3、Perturbation・Daystep・RejectYear・MeanResidual 0.55783568283179075・UsedObs 7454、最後に ErrValid からの形式誤差が書かれている

先頭3行が書式の説明です。行頭が # の行は註で、読み込みには使いません。

ファイル名の真ん中の2文字は、どの非重力効果のモデルで解いたかを表します。 [非重力効果]の枠で選んだものが、そのまま名前に出ます。

OrbitLife の[非重力効果]の枠。[計算する]にチェックが入り、モデルの選択が開いて 水氷・CO・N2・CO2・太陽光圧 の4つが並んでいる。右に A1 が 0.3836121、A2 が 0.1113097、A3 のチェックは外れている
[計算する]にチェックを入れて、モデルを選びます。右の A1 A2 が求まった係数。 A3(軌道面に直交する成分)も解くかどうかは、チェックで決めます。
A1
水氷(マースデン Type II)上の C/2014 Q2 がこれです。彗星でいちばんふつうの選択になります。
Y1
CO・N₂(薮下理論)一酸化炭素や窒素の氷が効いているとみるモデルです。
C1
CO₂二酸化炭素の氷。
S1
太陽光圧氷の噴出ではなく光の圧力。小さな天体で効きます。
(無し)
非重力効果を解いていないときこの2文字は付きません。名前が CK14Q020_E20161019_EX.IMP の形になります。ファイル名を見ただけで、重力だけで解いたのかどうかが分かります。

大事なのは、ここに軌道要素だけでなく「どう解いたか」が全部書いてあることです。 要素だけ戻しても、非重力効果のモデルや摂動の設定、リジェクトのしきい値が違えば、 次の [手動] で別の方向へ動きます。戻したいのは数字ではなく状態なので、そちらを書いてあります。

%.17gdouble をビット単位で往復できる桁数です。上の画面の [A1] 欄は 0.3836121。同じ係数が、ファイルでは 3.8361207561251666e-09 です。画面は桁をそろえて丸めた表示で、ファイルのほうが計算に使っている値そのもの。表示のほうを読み直したら、それはもう同じ解ではありません。
角度
ラジアンPeri・Node・Incl はラジアンで書きます。行末の # のあとに添えてある度数表記は人が読むためのもので、読み込みには使いません
どの観測か
Object / PackNames / ObsFile / SavedAt天体名、詰め書きの符号、読んでいた観測ファイルの場所、保存した日時。どの観測ファイルに対する解なのかを取り違えないためのものです。
軌道要素
Epoch と、T・q・e・Peri・Node・Incl元期と、そこでの6つの軌道要素。これだけが独立な量です。行頭が # になっている a は q と e から求まる従属量なので、値は書き出されません(−1 が入るだけです)。すぐ下の MpOrbit は、要素を彗星形式で表示するか小惑星形式で表示するかの別。この例は彗星形式の 0 です。
非重力効果
Effect / NonGravModel / EffectA3 / A₁・A₂・A₃解いたかどうか、どのモデルか(0=水氷・1=CO・N₂・2=CO₂・3=太陽光圧)、A₃ も解いたか、そして求まった係数。上の例は NonGravModel = 0、つまり水氷です。ファイル名の A1 と中身が一致します。
摂動と積分
Perturbation / MpPertSet / FixEcc / Daystep摂動計算の有無、摂動体に加える小惑星、離心率を固定したかどうか、積分間隔。Daystep = −0.5 日は、§01 の画面で[積分間隔]を[自動]にしたときの[決定値]0.5日 です。符号は積分の向きを表します。
リジェクト
RejectYear / RejectOld / RejectNewしきい値を年で分けた設定です。上の例は1800年を境に、それ以前は 3600″、以後は 2″。古い観測を残すか外すかの判断が、そのまま記録されています。
形式誤差
ErrValid → ErrA3要素ごとの形式誤差も残ります。先頭の ErrValid が、以下の値が有効かどうかの印。T・Peri・Node・Incl・q・e・a・P・n のぶんと、非重力効果の ErrA1・ErrA2・ErrA3 まで。単位の註が付いているのは ErrT(日)・Errq と Erra(AU)・ErrP(年)で、角度の3つは要素と同じ単位です。§02 の 8行形式に出る Delta(…) と同じものを、こちらは丸めずに持ちます。この例の ErrA3 = 0 は、A₃ を解いていないからです。
−1 の行
値を入れていないという印この例では ErrPErrN、それに上のほうの # a が −1 です。数値ではなくなので、0 と取り違えないでください。q と e から求まる量については、こういう形になります。
使った観測
ObsCount / ObsFlags / UsedObsObsCount = 7,958 が観測ファイルの総数で、註に内訳が入ります(除外498・手動除外6・コード不明0)。続く ObsFlags が、その 7,958点を1点1文字で並べたもの。80文字で1行、この例では100行です(最後の行だけ38文字)。. が使った観測、R がしきい値で外れたもの、F が手で外したもの。数えると . が 7,454・R が 498・F が 6 で、内訳とも UsedObs = 7,454 ともぴたりと合います。どの1点を外したかまで、そのまま残っているということです。下に実物を出します。
そのときの成績
MeanResidual平均残差 0.55783568283179075″。読み込んだあと同じ数字が出るかで、正しく戻ったことを確かめられます。

上の画面写真は ErrIncl のあたりで切れています。その先はこうなっています。

FORMAL ERRORS & OBS FLAGSCK14Q020_E20161019_A1_EX.IMP  ·  末尾
ErrValid     = 1   # 以下の形式誤差が有効
ErrT         = 1.926730565754477e-05   # 日
ErrPeri      = 1.6139168546621995e-05
ErrNode      = 2.2257051313982916e-06
ErrIncl      = 3.5542706512743298e-06
Errq         = 2.083111684458847e-07   # AU
Erre         = 4.6960402393890209e-07
Erra         = 3.6376458534496828e-07   # AU
ErrP         = -1   # 年
ErrN         = -1
ErrA1        = 9.170653884851407e-11
ErrA2        = 9.71926446967587e-11
ErrA3        = 0

ObsCount     = 7958   # 除外498 手動除外6 コード不明0
ObsFlags     = ....RRR..RR...........R...............R.........................................
ObsFlags     = ........R.R..................R..................................................
ObsFlags     = ....................................................................R...........
                (ObsFlags はこのあと 97 行つづきます)

横に長いので、枠の中はスクロールします。 RF の1文字ずつが、 外した観測1点ずつに対応しています。

これが「戻せる」ということ

軌道要素と設定だけでは足りません。同じ観測を、同じように外してある必要があります。 しきい値(RejectYear・RejectOld・RejectNew)を書いておけば R は付け直せますが、 手で外した F の6点は、しきい値からは決まりません。 1点ずつ持っているのはそのためです。
読み込んだあとに MeanResidualUsedObs が保存時と合っていれば、 観測の外し方まで含めて戻っている、と見てよいことになります。

§04 LOAD

読み込んで再現する。

保存は [ファイル]、読み込みは [表示] です。 [表示] → [軌道要素を読み込んで計算] を選びます。

MENU表示 → 軌道要素を読み込んで計算
OrbitLife の [表示] メニューの下のほう、[軌道要素を読み込んで計算(L)...] が赤枠で示されている。そのすぐ上に [軌道要素を入力して計算(I)] と [計算結果から元期を移動(M)] が並んでいる

すぐ上の [軌道要素を入力して計算] と間違えないように。
この2枚だけ、別の天体を開いていたときの画面です。

OPEN再現用ファイルを選ぶ
「読み込む再現用ファイルを指定してください」ダイアログ。絞り込みは OrbitLife 再現用ファイル (*.IMP) で、一覧に .IMP のファイルが並び、末尾が _EX のものが赤枠で選ばれている。[開く(O)] ボタンにも赤枠が付いている

絞り込みは OrbitLife 再現用ファイル (*.IMP) です。

_EX が付いているほうを選ぶ

8行形式も再現用形式も、拡張子は同じ .IMP です。同じ解を両方の形式で書き出すと、 一覧には似た名前が2つ並びます。見分けられるのは末尾の _EX だけ。 戻すために開くのは、そちらが付いているほうです。 名前は打ち替えて構いませんが、_EX だけは残してください。あとで自分が困ります。

読み込むと、軌道要素と、その解を出したときの設定がそのまま入ります。 MeanResidual と UsedObs が保存時と合っていれば、戻っているということです。 合わなければ、読んでいる観測ファイルが違います(ObsFile の行を見てください)。

§05 WHEN

いつ保存するか。

多くの天体は、観測を読み込んで [手動] を数回押せば短時間で収束します。 そういう相手なら、保存しないでやり直しても困りません。問題はそうでないときです。

CASE 1

時間のかかる相手だと分かったとき

観測数が非常に多いときや、ミニムーンのように複雑な軌道のときは、 30分、ときには数時間の試行錯誤になります。そこまで来たら、収束していなくても いったん保存してください。区切りのいいところに戻れるだけで、その先の試し方が変わります。

CASE 2

長くかけて求まったとき

納得できる残差まで来たら、必ず保存します。あとで同じ解が要るようになったとき、 読み込むだけで済みます。とくに観測数が極めて少なくて、[自動停止]で引き当てた解は、 同じものをもう一度引き当てられる保証がありません。 その1つを残せるのが、この形式のいちばんの使いどころです。

保存しても、判断は残ります

再現用ファイルが戻すのはそのときの状態であって、その解が正しいことではありません。 残差もリジェクトの設定も、保存した時点の判断のまま戻ってきます。 時間をおいて開き直したら、数字を信じる前にもう一度見てください

§06 NEXT

となりの画面。