ORBITLIFE V2.0.7 ORBIT DETERMINATION
VERSION
2.0.7
SINCE
2004.09.04
EPHEMERIS
DE441
OBS / SOLUTION
1319
MEAN RESIDUAL
0.58
PLATFORM
WIN 10/11

観測を入れると、軌道が出る。
落ちる先まで出る。

彗星・小惑星の位置観測から軌道要素を決めるための計算機です。惑星の重力も、一般相対論による効果も、 彗星が噴き出すガスの反動も勘定に入れます。日本のアマチュア観測者が自分の観測を計算するために作り、 22年のあいだ手を入れ続けてきました。

ORBIT DIAGRAM40P/Vaisala
40P/Vaisala の軌道図。中央の太陽のまわりに水星・金星・地球・火星の軌道が並び、その外側を彗星の軌道が大きく回っている。近日点の近くほど日ごとの位置が密に並ぶ。元期 2026年7月19.0 TT

求めた軌道要素から描いた軌道図です。元期 2026年7月19.0 TT。

§01 IMPACT

実際に落ちた4つ。すべて計算した結果の画面です。

誤差の範囲でクローン軌道を300本ばらまき、地球への接近を調べます。300本すべてが同じ一点へ収束すれば、 衝突確率は 100.00% と表示されます。以下は想像図ではなく、その計算結果の画面をそのまま貼ったものです。 落ちる前に見つかった小惑星は全部で12個。どれも観測は公開されていて、 ご自分で計算できます。

2008 TC3  ·  2008-10-07 02:46 UTC  ·  SUDANP(impact) = 100.00% (300/300)
2008 TC3 の突入軌道。300本の細い橙色の線が扇状に広がりながらスーダン上空の一点へ収束し、衝突確率100.00%と表示されている

人類が初めて、落ちる前に見つけて衝突を予報できた小惑星。発見からおよそ20時間後に落ちました。 この計算のしかた 太い線は接近の通り道、細い線は各時刻の真下の地表へ下ろした垂線です。

2018 LABOTSWANA
2018 LA の突入軌道

発見から数時間後に落ちました。破片はカラハリで拾い集められています。

2024 RW1LUZON
2024 RW1 の突入軌道

夜空を横切る火球を大勢が撮影しました。橙色の帯が、その光になるまでの道すじです。

D/1993 F2JUPITER
シューメーカー・レビー第9彗星の木星への突入軌道

潮汐で引き裂かれた彗星が1週間かけて次々に落ちました。落ちる先は地球でなくてもかまいません。

§02 SOLVE

3点から始めて、すべての観測に合うまで追い込む。

望遠鏡で写るのは方向だけで、距離は写りません。手順そのものは200年前から変わっていません。

01 SELECT 3 OBS
3つの観測を選ぶほどよく離れた3点があれば、仮の軌道がひとつ決まります。どの3点を選ぶかで、その後の収束がまるで変わります。
02 RESIDUALS
残差を見る仮の軌道から計算した位置と、実際に観測された位置の差が残差です。単位は秒角。1秒角は3600分の1度です。
03 IMPROVE
合うまで改良する軌道要素を少しずつ動かして残差を小さくします。惑星の重力も、一般相対論効果も、非重力効果も勘定に入れます。
ORBITAL ELEMENTSC/2008 T2 (Cardinal)
Epoch  2009 Oct. 16.0 TT = JDT 2455120.5
T            2009 June 13.23593 TT
q            1.2022532
e            1.0000347
Peri.        215.86812     (2000.0)
Node         309.67768
Incl.         56.30410

1319 obs.    Mean residual  0.576618"

1,319個の観測に対して平均残差 0.58 秒角。空に置いた1円玉を、2キロ先から見分ける精度です。

RESIDUALS (EXCERPT)R = rejected
   No.  Date (UT)        Obs    dRA"    dDec"
     1  2008 10  1.1619  661    -2.8    -2.3
     2  2008 10  1.2292  661    -3.2    -1.4  R
    14  2008 10  8.4144  H36    -0.3    -0.0
   281  2008 12 13.2429  212    +2.7    -5.7  R
  1345  2009  9  9.3674  E94    -2.7    +3.4  R

R は、ずれが大きすぎるとして計算から外した観測です。

ORBIT DIAGRAM220P/McNaught
太陽系を俯瞰する2Dの軌道図
§03 V2

10年ぶりの更新で入ったもの。

計算の中身と、それを見るための道具の両方を作り直しました。Version 2 という名前は、軌道図が描けるようになったら付けようと決めていたものです。

ORBIT DIAGRAM

軌道図

求まった軌道を太陽系の中に描きます。数字の並びから形を思い描くには慣れが要りますが、図なら一目です。観測のある位置には黄色いマークが付くので、弧のどこを押さえられているかが感覚で分かります。機能と操作方法ミニムーンの地心軌道図

RELATIVITY

一般相対論効果

摂動計算に常に含めています。近日点距離の小さい天体では、これを欠くと軌道そのものが決まりません。(1566) Icarus で確かめた記録があります。

NON-GRAV

非重力効果

彗星が噴き出すガスの反動を A₁・A₂ として解きます。氷の種類(水・CO₂・CO/N₂)を変えて比べられます。

EPHEMERIS

惑星暦 DE441

JPLの最新の暦に対応。紀元前から数千年先まで、惑星の重力を入れた数値積分ができます。

PHOTOMETRY

光度曲線

観測された等級から H₁・K₁ を求めます。回帰ごとに重ねて描けるので、前回より暗いのかが目で分かります。核光度からは核直径の上限も見積もります。機能と操作方法

MONTE CARLO

衝突確率と地球儀

誤差の範囲でクローン軌道をばらまき、地球への接近を調べます。衝突地点は3Dの地球儀に描かれ、GIFアニメとして書き出せます。計算のしかた落ちる前に見つかった小惑星

OBSERVING

観測を助ける

観測好期チャートは、空の暗さ・太陽と月の出没・月齢・天体の高度を一枚に重ねます。捜索範囲の表示は、まだ見つかっていない天体をどこまで探せばよいかを示します。配色は8種類から選べます。

RECORD

操作ログと再現用ファイル

どの設定で何回改良したかを記録に残せます。解は17桁の再現用ファイルとして保存でき、同じ解をあとから復元できます。

DOCS

画面ごとの解説

ⓘ を押すと、その機能が何をしているのかを図と文章で説明します。軌道計算を学ぶための教材でもあります。

MAGNITUDE CURVEC/1995 O1  ·  H₁=−0.04 / K₁=10.0  ·  486 obs
C/1995 O1 (Hale-Bopp) の光度曲線。1986年から2008年までの観測点に当てはめた曲線が、1997年3月30日の近日点で鋭く立ち上がり、前後に長い裾を引いている
FAVORABILITY CHARTC/2022 L1 (Catalina)
C/2022 L1 (Catalina) の観測好期チャート。横軸が日付、縦軸が地方時で、空の暗さの階調に太陽と月の出没・月齢・彗星の高度が重ねて描かれている
§04 RELATIVITY

一般相対論効果は、当然、計算に入れています。

摂動計算のオプションではなく、常に効いている項のひとつです。近日点距離の小さい天体では、これを外すと 軌道そのものが決まりません。外したときに何が起きるかを、小惑星 (1566) Icarus で実際に確かめました。

(1566) Icarus を4通りの設定で解いた結果
相対論非重力採用観測平均残差A₁ の符号
ONOFF13810″.69
OFFON14110″.67負(太陽向き)
OFFOFF4881″.2

相対論を落として非重力効果を許すと、残差はむしろ小さくなります。数字の上ではこちらのほうが「良い解」に 見えます。しかし A₁ が負、つまり太陽に向かって加速していることになり、氷の昇華では説明がつきません。 残差では見分けられない誤りが、符号ひとつに出ています。

§05 LOG

2004年9月4日から、22年ぶん。

空白の4年も、そのまま残してあります。

2004.09.04
Version 1.8.2 (Build 1) 公開最初の公開版。以来、更新のたびに何を直したかを1行ずつ書き残してきました。
2004 — 2010
およそ30回の更新摂動計算、位置推算、観測ファイルの書式対応。
2011 — 2014
NO ENTRY
2015 — 2016
ふたたび集中して更新
2016.12.16
Version 1.26.3ここで10年止まります。
2026
Version 2.0.7全面的に作り直しました。