- VERSION
- 2.0.7
- SINCE
- 2004.09.04
- EPHEMERIS
- DE441
- OBS / SOLUTION
- 1319
- MEAN RESIDUAL
- 0.58″
- PLATFORM
- WIN 10/11
観測を入れると、軌道が出る。
落ちる先まで出る。
彗星・小惑星の位置観測から軌道要素を決めるための計算機です。惑星の重力も、一般相対論による効果も、 彗星が噴き出すガスの反動も勘定に入れます。日本のアマチュア観測者が自分の観測を計算するために作り、 22年のあいだ手を入れ続けてきました。
実際に落ちた4つ。すべて計算した結果の画面です。
誤差の範囲でクローン軌道を300本ばらまき、地球への接近を調べます。300本すべてが同じ一点へ収束すれば、 衝突確率は 100.00% と表示されます。以下は想像図ではなく、その計算結果の画面をそのまま貼ったものです。 落ちる前に見つかった小惑星は全部で12個。どれも観測は公開されていて、 ご自分で計算できます。
人類が初めて、落ちる前に見つけて衝突を予報できた小惑星。発見からおよそ20時間後に落ちました。 この計算のしかた 太い線は接近の通り道、細い線は各時刻の真下の地表へ下ろした垂線です。
発見から数時間後に落ちました。破片はカラハリで拾い集められています。
夜空を横切る火球を大勢が撮影しました。橙色の帯が、その光になるまでの道すじです。
潮汐で引き裂かれた彗星が1週間かけて次々に落ちました。落ちる先は地球でなくてもかまいません。
3点から始めて、すべての観測に合うまで追い込む。
望遠鏡で写るのは方向だけで、距離は写りません。手順そのものは200年前から変わっていません。
Epoch 2009 Oct. 16.0 TT = JDT 2455120.5 T 2009 June 13.23593 TT q 1.2022532 e 1.0000347 Peri. 215.86812 (2000.0) Node 309.67768 Incl. 56.30410 1319 obs. Mean residual 0.576618"
1,319個の観測に対して平均残差 0.58 秒角。空に置いた1円玉を、2キロ先から見分ける精度です。
No. Date (UT) Obs dRA" dDec"
1 2008 10 1.1619 661 -2.8 -2.3
2 2008 10 1.2292 661 -3.2 -1.4 R
14 2008 10 8.4144 H36 -0.3 -0.0
281 2008 12 13.2429 212 +2.7 -5.7 R
1345 2009 9 9.3674 E94 -2.7 +3.4 R
R は、ずれが大きすぎるとして計算から外した観測です。
10年ぶりの更新で入ったもの。
計算の中身と、それを見るための道具の両方を作り直しました。Version 2 という名前は、軌道図が描けるようになったら付けようと決めていたものです。
軌道図
求まった軌道を太陽系の中に描きます。数字の並びから形を思い描くには慣れが要りますが、図なら一目です。観測のある位置には黄色いマークが付くので、弧のどこを押さえられているかが感覚で分かります。機能と操作方法/ミニムーンの地心軌道図
非重力効果
彗星が噴き出すガスの反動を A₁・A₂ として解きます。氷の種類(水・CO₂・CO/N₂)を変えて比べられます。
惑星暦 DE441
JPLの最新の暦に対応。紀元前から数千年先まで、惑星の重力を入れた数値積分ができます。
衝突確率と地球儀
誤差の範囲でクローン軌道をばらまき、地球への接近を調べます。衝突地点は3Dの地球儀に描かれ、GIFアニメとして書き出せます。計算のしかた/落ちる前に見つかった小惑星
観測を助ける
観測好期チャートは、空の暗さ・太陽と月の出没・月齢・天体の高度を一枚に重ねます。捜索範囲の表示は、まだ見つかっていない天体をどこまで探せばよいかを示します。配色は8種類から選べます。
操作ログと再現用ファイル
どの設定で何回改良したかを記録に残せます。解は17桁の再現用ファイルとして保存でき、同じ解をあとから復元できます。
画面ごとの解説
ⓘ を押すと、その機能が何をしているのかを図と文章で説明します。軌道計算を学ぶための教材でもあります。
一般相対論効果は、当然、計算に入れています。
摂動計算のオプションではなく、常に効いている項のひとつです。近日点距離の小さい天体では、これを外すと 軌道そのものが決まりません。外したときに何が起きるかを、小惑星 (1566) Icarus で実際に確かめました。
| 相対論 | 非重力 | 採用観測 | 平均残差 | A₁ の符号 |
|---|---|---|---|---|
| ON | OFF | 1381 | 0″.69 | — |
| OFF | ON | 1411 | 0″.67 | 負(太陽向き) |
| OFF | OFF | 488 | 1″.2 | — |
相対論を落として非重力効果を許すと、残差はむしろ小さくなります。数字の上ではこちらのほうが「良い解」に 見えます。しかし A₁ が負、つまり太陽に向かって加速していることになり、氷の昇華では説明がつきません。 残差では見分けられない誤りが、符号ひとつに出ています。
2004年9月4日から、22年ぶん。
空白の4年も、そのまま残してあります。
