2001年に北半球で発見され、その後南下し、日本からは観測できなくなっていたニート彗星 C/2001 Q4(NEAT) が北上してきました。天候が少しだけ回復し、雲の合間(雲を通して)からどうにか写せました。撮像中は画像1のように尾が右に広がっているように見えたので冷却CCDカメラの方向を間違えたのかと思いましたが、強い画像処理を行ってみると、計算どおり尾が南西(左下)に伸びていることがわかりました。雲を通しての画像なので尾はほとんど写っていません。右方向に吹き出しているように写っているのは何でしょうか?
下の画像は、2004年5月5日19時58分42秒からの5秒露出です。わずか5秒露出なのにずいぶん星が流れています。これは太陽が沈んだ直後から望遠鏡や冷却CCDの準備をしなければならなかったので、極軸を調整する時間が無かったのです。それに雲が多くて北極星は見えませんでしたし。勘で北に向けて、わずかに見える明るい星、金星とシリウスで2点アライメントしてどうにか導入しました。導入中に黒い雲に覆われてもうだめかなと思いましたが、雲を通して撮りつづけました。”雲”を撮りながら、「土佐市の街明かりが強いのかな?右上に向かって白くかぶっている」なんて思っていたのですが、50枚くらい雲を写した時に突然白い丸いボーッとしたものが右上に現れました。白くかぶっていると思っていたものはニート彗星だったのです。明るくて1分露出なんてやってたらブルーミングをおこしそうです。極軸が合ってないので5秒でも流れてしまいます。精密位置測定用には2秒~3秒露出で写し止めました。ちょうど冬の天の川の中なので明るい比較星がたくさん写ってくれて助かりました。写しているうちにどんどん北上(上方向)していくのがわかります。明後日には雲のかかってないニート彗星を狙います。
(1)未処理の画像(原画)
(2)画像処理して尾を強調した画像
雲を通しての低空なので写りが極端に悪い
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.