私の部屋の本箱には結構古い資料がたくさん放り込まれていて、いまだ読んだこともないものが多いのですが、貴重な資料なので少しずつ読んでいます。そんな中に、今年の5月21日の金環日食について書かれた資料が見つかりました。
山口県天文研究会が発行した会報『銀河 第6号』です。
裏表紙を見ると昭和38年7月17日発行となっているので、49年近く前のものです。
その発行日から4日後の1963年7月21日の早朝、北海道で皆既日食が起きました(周辺の地域では部分日食になります)。当時はアマチュア天文家だけではなく、一般の人にとっても大イベントだったはずです。
次に日食が日本で見られるのはいつなのか。だれもが知りたいところですが、最終頁にその質問が投稿されていて、横田博さんが答えています。
7月21日の日食以後に起こるもので日本からみられるのは、46年先の2009年7月22日の皆既日食で、中心線は上海付近から、奄美大島・屋久島を通ります。その次は2012年5月21日に起る全環食で、南支の広州付近から鹿児島→高知→奈良→富士山→東京を通り、地理的条件は最もよいが、約50年先のことです。
この会報を読んだ多くの人は、どのように思ったでしょうね?
50年も先のことなんて観測目標の範囲にはなかったのではないでしょうか。この時点で20歳の若者でも70歳くらいになります。この問いに返信した横田博さんは当時36歳(若い!!)ですが、85歳になるわけです。「まあ、健康だったら見られそうだな」なんていう感じだったのではないでしょうか。
その、遠い遠い50年が経ちました。今年2012年5月21日。日本で金環日食や部分日食の観測のチャンスがやってきます。
50年先の日食を案内した銀河第6号に、50年後の私たちが観測を成功させ、報告したいものです。
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.
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