STARS-II(GENNAI)を撮りました!!


19時18分10秒のSTARS-II(GENNAI)の位置


19時19分10秒のSTARS-II(GENNAI)の位置

 香川大学の人工衛星STARS-II(GENNAI)は地球を周回しているのですが、必ずしもすべてが順調なわけではありません。本当は近くに行って様子を見てみたいのですが、そんなことができるわけはないので、地上から大きな望遠鏡で撮影してみようということになりました。人工衛星の地上からの光学観測は当初から計画されていたことで、国内の約20の天文台や個人観測所から協力をいただき成果が上がってきているところです。協力天文台の成果は公式ウェッブサイトをご覧いただくこととし、ここでは芸西天文台での撮影についてお話しします。

 ロケット打ち上げから1ヶ月が経過し、やっと光学観測のできる条件が到来しました。なぜ1ヶ月もかかったのかというと、STARS-II(GENNAI)を写すためには、地上が夜で、かつ人工衛星のいる上空が昼間であることが必要です。高高度を飛んでいればもっとチャンスは多いのですが、わずか380km程度の高度です。太陽が沈んで空が暗くなった直後のほんのわずかな時間帯に日本の上空を通過する条件を待たなければならないのです。その条件を待つのに1ヶ月も必要でした。
 4月1日19時台のパスでやっと撮影することができました。
 GENNAIの軌道は、この日最高仰角でも21.8度と低空を通過するものでした。しかも輝面比でいうと半月程度だったので写る可能性は少ないと思いました。しかし、この日は昼間から大気が非常に澄み渡っており、真っ青な空が見えていました。

 もしかしたら写るかもしれない。チャンスは2~3回しかないのだから、とにかく天文台に行ってシャッターを切ってみよう。

 今回は19時18分前後の通過だったので、時間的な余裕がありました。
 天文台の中でいろいろ考えていると、西から南に向けての低空での移動なので2フレームは撮影できると思われました(芸西天文台の望遠鏡は経緯台なので、天頂を越えるパスや北から東を経由して南に移動するパスは望遠鏡の回転が反転してしまうので迅速な追跡ができないのです)。これは過去に何度かISS(国際宇宙ステーション)を撮影した経験によるものです。
 そこで、最も高度が上がる(21.8度)19時18分10秒±5秒と、輝面比が57%に向上する19時19分10秒±5秒に撮影しようと計画しました。


STARS-II(GENNAI)の光跡(1)


STARS-II(GENNAI)の光跡(2)

 1枚目を撮影する時刻がやってきました。電波時計をにらみながら秒読み開始で、1枚目のシャッターを切りました。ところが、緊張していたのか、本当なら通過する時刻の5秒前にシャッターを押す計画だったのが、通過する時刻に押してしまったのです。だいたい、人間の感覚ではちょうどと思うタイミングでも、カメラのシャッターが開くのは0.5秒~1秒くらい遅れるものです。完全に通り過ぎたと思いました。芸西の望遠鏡は焦点距離が5000mmもあるので、36mm正方の冷却CCDカメラでもわずか28’程度の視野しかありません。衛星は1秒から2秒で視野を通過するのです。撮影画面に表示された縮小画像を見たのですが、やはり衛星の光跡らしきものはなにも写っていません。
 落ち込んでいる暇はありません、2枚目の撮影時刻まであと30秒しかありません。気を取り直して、素早く保存し、2枚目の位置に望遠鏡の向きを移動させました。
 2枚目は計画通りの時刻にシャッターを切ることができました。これも画面に表示された縮小画像には星以外のものは写ってないように見えました。
 しかし、原寸大画像をよく見ると非常に淡いながらSTARS-II(GENNAI)と考えられる光跡が写っていました。しかも2枚とも!
 幸運だったのでしょうか。発表されていた軌道要素より少遅れて移動していたようです。
 画像からは1本の光跡しか見えません。もし親子が分離していたら最大で300mまで離れるので、地上から5000mmの焦点距離で写せば角度にもよりますが、明確に2つの線が写るはずです。このことから、「親子は分離しているようには見えません」と報告しました。


 
 



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