今夜は雲が全く無く気温も比較的高めで風もほとんど無かったのですが、残念ながら満月で、カシオペア座のε星(W型の右上の星=3.3等)すら見づらいほど空が明るかったです。
まずは、アウトバースト(爆発現象)を起こした後、大きく拡散しつつあるホームズ彗星を観測しました。
とりあえず双眼鏡でどんな姿になっているのか確認しようとしました。ペルセウス座α星(1.8等)のすぐ横にあるはずなので楽勝のはずでした。ところが、無い。周辺も探し回ったんですが、無い。
次に望遠鏡の背中に乗っている小さなファインダーで眺めようとしましたがが、やはり無い。先週の18日には芸西天文台で散々観測したのでその姿は明瞭に覚えています。そのときのイメージを思い出しながらもう一度双眼鏡で探しましたが、やはり無い。
それならばと、主砲(20cmシュミットカセグレン望遠鏡)を組み立て、冷却CCDカメラを装着。これでコンピュータの画面にバーン!と写るはずです。どきどきしながらCCDからのデータがコンピュータに送られてくるのを待ちました。前回よりさらに大きく拡散した彗星の姿がバーンと画面に……。ありゃ?恒星がたくさん写っているだけで、巨大な彗星の姿はどこにもありません。位置を間違えたかなと確認しても合っています。あんな大きな彗星が突然消えるはずも無く、消えたにしてもなにか残骸のようなものが残っているはずです。画面を丁寧に眺めていると…..、あった。なにかぼ~~っとした物体が。まさかこの小さく貧弱な光があの彗星なのか?
家に帰って3枚の画像をアニメーションしてみるとその貧弱な光芒は西の方向にゆっくり移動していました。位置を精密に測定して軌道を計算してみるとホームズ彗星に間違いありません。どうも大きなコマの部分は月明かりに埋もれているようです。または画面全体が彗星のコマで覆われているのでしょうか?月が小さくなるのを待って再度観測してみようと思います。
このホームズ彗星は本来は18等級で、アマチュアの機材では撮像すら困難なほど暗かったのですが、突然爆発現象が起き40万倍に明るくなっているものです。この後太陽(地球)から離れていきますが、8年後にまた戻ってきます。しかしその時には元の非常に暗い彗星の姿に戻っていて、肉眼や双眼鏡で観望することは無理でしょう。楽しむなら今のうちですので今度月が小さくなったらぜひ双眼鏡や望遠鏡で眺めてみてください。白く透き通っているので宇宙にぽっかり浮かぶ巨大なクラゲという印象です。
下の画像は満月下の画像です。中央にあるぼ~っとしたものが彗星の核です。巨大な彗星のコマは画像の外まで大きく広がっていると考えられます。画像の中のミミズが這ったような黒いものは、CCDを冷やしすぎて前面ガラスに付着した水滴の跡と汚れですので気にしないでください。
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.