18日の18時を過ぎてから、2004 FHという発見されたばかりの小惑星が地球に大接近する情報が飛び込んできました。しかも今までに見つかった天体の中で最も接近する感じでした。最も接近するのは19日の朝なので日本からは観測できませんが、情報が届いた18時にはもうすでにかなり接近していました。自分で計算するより中央局の方が情報が早いと思い、慣れない中央局のコンピュータで局地位置予報計算しました。慣れないものだからあれこれいろいろ設定を変更し、出力してみてはやり直し….。30分以上かけてどうにか使えるデータがプリンタから出てきました。
21時頃南東の空に昇り、2時30分には南西に沈むことがわかったことと、遅い時間になるほど明るくなるので、自宅に帰ってからゆっくりと出かけました。23時頃になると、明るい高知市の光の影響が少ない位置に見られると思ったからです。ところが、これが大失敗だったのです。計算された位置の周辺をいくら探しても発見できませんでした。
その頃中央局には早い時間に観測されたデータが世界中から届き、最新の軌道データが更新されていたんです。
帰ってきてからわかったのですが、21時頃だったらどうにか撮像できた可能性がありましたが、23時を過ぎると画像4枚分以上北の方を移動していたのです。つまり、18時頃計算した軌道は精度が悪く、5時間も先の位置を正確には計算できなかったのでした。もし観測現場で23時ころに計算された軌道データを使うことができたのなら確実に捕らえることができたはずです。
観測中でもインターネットから最新の情報を取得する必要性を痛感しました。でも移動観測なので通信手段に課題が残ります。携帯電話でつないでみましたが、電波が弱いし、速度が遅すぎてタイムアウトしたりで実用的ではありませんでした。
これで地球接近小惑星の観測は2回連続で失敗しましたが、失敗した原因がわかったのでレベルアップできたと思います。
次回こそは!!
下は、その夜撮像したM51星雲です。わずか1分露出にしてはなかなか良く撮れたと思います。ちょっとピントが悪いですけど。
M51(子持ち星雲)
2004年3月19日 4時45分
1分露出×3枚
20cm f/6.3(1240mm) + BITRAN BT-10
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.