深夜2時になると夏の天の川が南に向かって、まるで雲のように見えています。いつもの年だったら、その一番濃い部分の西側(右)には赤い色をしたさそり座のアンタレスが不気味に輝いているのですが、今年は天の川とアンタレスの間にもう一つ非常に明るい星が割り込んで賑やかになっています。この明るい星は木星です。木星はしばらくはこの位置にあるので今年の夏の天体観望は楽しみが多いです。
さて、その天の川に望遠鏡を向けて撮像したのが、下の画像です。どうですか?すさまじい量の星でしょう!肉眼で見る天の川は白くぼ~~っとしていて、雲と同じように見えますが、その正体はこのような星の集まりなんです。これらの星はすべて銀河系内の星で、自らのエネルギーで燃えていて、太陽と同じ恒星という星です。地球から遠いので望遠鏡で写してもこんなに小さいですが、これらの多くは太陽より明るい星なんです。
さて、さて、天の川を写すためにわざわざ1時に起きて眠い眼をこすりながら観測に出かけたわけではありません。実は、この中に彗星が隠れているんです。さあ、どれが彗星だかわかりますか?ヒントはオレンジ色の枠の中心付近にあります。わからなければ画面を下にスクロールさせて文の続きを読んでください。
えらそうに、「どれが彗星だかわかりますか」なんて、書きましたが、尾のない小さな彗星なのでわかるはずありません。見た目は恒星と同じですからね。
そこで、どうにかして探さないといけないわけですが、彗星の特徴はどんどん移動してゆくことです。そこで、数分たって同じ場所をもう1枚撮像し、2枚の画像を交互に表示させてみるわけです。上の画像の中心部分をよ~く見ると斜め方向に動いている怪しい天体が写っています。わかりますか?これが彗星です。
彗星というと長い尾が美しく伸びている姿を思い出しますが、多くの彗星やまだ遠くにある彗星はこんな感じで尾は目立たないんです。
こんな彗星がどんどん太陽に近づいてくると、ぶわ~~と尾が出るわけです。
ちなみに、彗星は太陽系の中の天体なので、上の画像に写っている恒星よりずっと手前にあります。
宇宙を写すと、光の速度で3分とか1時間程度の距離の天体(太陽や惑星、彗星など)ものや100光年のもの(銀河系内の恒星)、そして数千万年のもの(系外銀河など)が同じ画像に写るわけです。したがって、現在の宇宙の本当の姿ではないんです。たくさんの異なった時が見えているんです。
面白いですね。
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.
2 comments for “これが天の川の正体です”