小さな小惑星(2008 TC3)が地球に大接近した!

 朝起きると小惑星センター(国際天文学連合の機関)から十数通のIAUC(国際天文学連合回報)やMPEC(小惑星センター回報)が届いていました。私の朝はまずこれらのメールを読むことから始まるのでいつものように読んでいたのですが、なんか変…。同じタイトルのMPECが何通もありました。いよいよセンターのコンピュータが壊れたかと思って削除しようとしたんですが、発行番号がちゃんと加算されていました。これは何かあったなと注意深く調べてみると、4時33分に届いたIAUC 8990を読んでその理由が分かりました。簡単に言うと、小さな小惑星が地球に接近していることが観測され、10月7日11時45分頃(日本時間)に北スーダンを越えて東から西に向けて大気に突入するだろうという記事でした。
 それに続くMPEC T52ではそれまでの観測データと小惑星センターが計算した軌道要素、それに位置推算が記載されていました。位置推算を見ると、時間が経過するにしたがってDelta(地球と天体の距離)がどんどん小さくなっています。そして、最後の行に示されたDeltaはなんと0.00003。この数値の単位はAU(天文単位)なので、0.00003AUは4488kmになります。「な~~んだ、4488kmも上空じゃないか」と思わないでください。この距離は地球の中心からの距離です。そして、地球の半径(地表までの距離)は赤道面で約6382kmです。つまり、これは衝突を意味しているんです。
 問題は小惑星の大きさですが、絶対等級が30.4等と書かれていたのですが、私には直径にするとどの程度のものか知識が無くてわかりませんでした。しかし、直径がどの程度ならどれくらいの被害が予想されるという知識は書籍などで知っています。
 それから自分で軌道を計算してみようと思いデータファイルを作成しようとしたのですが、次々にまるで迷惑メールのごとく最新の観測データが送られてきます。小惑星センターが同じ天体のデータを狂ったように送ってくることはこれまで一度もありませんでした(小惑星センターは世界中の天文台や観測者からの観測データを受信し、チェック済みのデータを特定の人に配信します)。小惑星センターも事態を重視していることが分かります。
 しかし、5時25分に送られてきたMPECによると、地球と小惑星の距離は0.00006AU(約9000km=地表から約2600km)に離れていました。とは言っても、これでもかなり心配です。静止衛星の軌道が約35800kmなんです。計算誤差を考慮しても人工衛星並みの距離に入ってくることは間違いありません。
 いつまでもデータを眺めているわけにも行かず、遅刻ギリギリまでデータを収集して会社に行きました。会社に着いても仕事より小惑星衝突のことが気になっていて、時々小惑星センターからのメールをチェックしたり、ニュースサイトを見たりしていました。次々に観測データが届くのですが、幸い接近距離の予報は0.00006AUより小さくなることはありませんでした。
 この時間(20時50分)になっても特に関連のニュースが流れることは無く、株価が一時1万円を割ったなどというニュースしか流れてないので、大事には至らなかったものと思います。
 世間では株価が大暴落して危機的状況の人や企業が多いかもしれませんが、私は地球の危機的状況(?)を知ってしまったために、同様に緊迫した一日でした。



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