水戸黄門とタルチュフ

 パソコンで地デジが見られるようになってから、予約録画の楽なことに気づき、「水戸黄門」で検索しては現在放映中のハイビジョンの第40部や再放送の第20部を撮って、毎日のように見ています。

 仕事で疲れた頭にはこの程度の気楽に見られるドラマがいいです。なんたって正義の味方が楽勝することが最初からわかっているのですから。その痛快さは馬鹿らしいほどばからしく、そんなものを見て喜んでいる自分を認めなくないのですが、ついつい見てしまいます(笑)。子供のころ「仮面ライダー」や「ウルトラマン」を見ていた時と同じ気持ちです。逆境や苦悩は描写されているものの、最後には楽勝で解決されるのです。

 この痛快さは現代のテレビ番組だけではなく、1800年代の演劇でもウケていたようです。

 モリエールの「タルチュフ」はそんな劇作品です。この本は、いつもの大きな書店の文庫本コーナーで、これまたいつものようにカニ歩きしていたときに偶然発見しました。教養のない私は「タルチュフ」が実在の小説(演劇作品)だとは知らなかったのです。スタンダールが小説「赤と黒」の中で創作したものだと思っていました(笑)。しかも日本語訳されているし….。思わず買ってしまいました。

 タルチュフは詐欺師なのですが、行き倒れを装い資産家の家に入り込みます。資産家の主(あるじ)と妻はタルチュフのことを、すばらしく尊敬すべき人物であり、すべての財産を与えるにふさわしい人物だと考えるまでになります。しかし、他の家族や親戚は怪しい人物であることを見破ります。「タルチュフさんの悪口を言ったら許さないぞ…」、「なにを言うのですか。あいつはペテン師ですよ…」などと話が展開します。最後には一家が悲惨な状況になってドキドキしますが、これ以上しゃべると読む楽しみがなくなりますね。

 この演劇は書き上げられてからしばらくは上演を禁止されていたそうですが、その後解禁になり、大ヒットしたそうです。

 やはり、1800年代も現代も、水戸黄門的痛快劇はウケるのです。

タルチュフ (岩波文庫 赤 512-2) 赤と黒 (上) (新潮文庫) 赤と黒 (下巻) (新潮文庫)



高知県ランキング
上のバナーをポチッと押していただくと著者が元気になりますのでよろしくお願いします。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です