小惑星同士の衝突でした!

 1月12日の記事に書いた P/2010 A2 (LINEAR) 彗星ですが、その後芸西天文台でも追跡しましたが、特に姿も光度も変わることはなく移動し続けています。

 そのリニア彗星が、1月25日(UT)と1月29日にハッブル宇宙望遠鏡により観測されました。ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡などの巨大望遠鏡の多くは、あらかじめ研究テーマと観測内容が審査され、観測日時がそれぞれの研究者に割り当てられているので、今回のような突発的な現象をすばやく観測することは困難です。1月25日になって、やっと自由割当時間が確保でき観測できたようです。その画像が下のものです(公開された画像は1月29日に撮影した方です)。
 可視光で撮像されていますが、天体が青いわけではありません。これは見やすくするために青く着色しているものです。頭の部分の左に小さな白い点がありますが、これが彗星(本来は小惑星)の本体だと思います。頭の部分にあるX字の構造は、小惑星に他の天体(微小天体)が高速で(5回)衝突したことを意味しているらしいです。小さな小惑星(石や金属の塊)同士の衝突って確率的に極めて珍しいと思うのですが、地球から観測できないような小さな小惑星が私たちが考えているよりはるかに多いのかもしれません。
 この画像を見ながらいろいろ空想しているのですが、けっこう頻繁にアウトバーストを起こして明るくなる彗星があるのですが、小惑星帯に無数に散らばる微小小惑星(大きなゴミ)が衝突しているのかもしれませんねえ。

 今回のように小惑星同士の衝突が観測されたのは初めてのことらしいです。この尾の成分はなんでしょうね。たぶん粉砕されたダストの尾でしょう。正確には"彗星"ではなく、"小惑星"と呼ばないといけないのかもしれません。ちなみに、小惑星と彗星をどこで呼び分けているかと言うと、尾やコマが観測されると"彗星"と呼んで、核しか観測されないと"小惑星"と呼ばれています。水や氷が主成分だと彗星で、岩石や金属だと小惑星というわけです。「衝突によってダストの尾が現れた小惑星」というのが正しいのでしょう。

 詳しい記事はNews Release Number: STScI-2010-07 Suspected Asteroid Collision Leaves
Odd X-Pattern of Trailing Debris
をご覧ください。



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