20.3等のパンスターズ彗星(C/2013 G3)を撮りました

 4月10日にPANSTARRS第1望遠鏡が20.8等の非常に暗い彗星を発見したという報が届いて驚きました。よくそんな暗い彗星が発見できるものです。
 20等級の彗星を追跡できる天文台はそう多くはないので、芸西天文台で観測してみようと思いました。
 5月3日に狙ってみましたが、この時はうす雲が通過していたようで、まったく写りませんでした。
 そこで、5月7日は比較的きれいな空だったので、まず10分露出を2枚撮ってみました。3枚目を撮影しながらその場で画像処理して探してみると、微かな気配を感じる像がありました。しかし、ノイズレベルぎりぎりで、測定は困難でした。そこで、2枚ずつコンポジット(合成)した画像を3枚作成して測定することにしました。そのためには10分露出を6枚撮らなければなりません。1つの彗星を観測するのに1時間もかかるのです。
 1時間半ほど観測してやっと必要な数の画像を得ました。
 下の画像は10分露出の6枚をメトカフコンポジットしたものです。1枚では写っていることに確信が持てないような画像でも、6枚をメトカフコンポジットすることで明瞭に浮かび上がってきました。中央にある白い点が彗星です。明るさを測定してみると20.3等でした。
 メトカフコンポジットというのは彗星の移動に合わせて合成する手法です。見た目は流し撮りと同じです。

[C/2013 G3 (PANSTARRS)]
C/2013 G3 (PANSTARRS)

 この彗星は太陽まで3.8天文単位(木星の少し手前くらいと同等の距離)までしか近づきませんので、せいぜい17等級までしか明るくならないと予報されています。また、惑星などに大接近するような軌道ではありません。
 過去軌道を計算してみたのですが、数万年ほど前に少なくとも1度は今回のように太陽に接近したことがわかります。ただし、この彗星は近似放物線軌道なので、今後観測期間が延びるにしたがって、より正確な軌道が計算できるようになり、数万年前と言っていたものが数十万年前になる可能性はあります。
 下に軌道図を掲載します。
 太陽系のはるか南から近づいてきて、北側をゆっくりと回り、再び南のかなた(6000天文単位くらいでしょうか?)に去っていきます。

[C/2013 G3 (PANSTARRS)彗星の軌道図]
C/2013 G3 (PANSTARS)彗星の軌道図



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