ブログシステムをMovable TypeからWordPressに移行しました。
移行したというと聞こえがいいのですが、本当のところはブログが破損してしまったので、汗だくになってどうにかWordPressで復活させたというところです。
この格闘は3週間近くも続きました。
Movable Typeで構築した人なら、2日もあればWordPressに移植できるだろうと言われるでしょうが、たしかにその通りです。では、なぜ3週間近くもかかったのか。それには一言では言えない経過があったのです。
- すでにこの時点で、話が長くなりそうな雰囲気が出てきました -
元々は、セキュリティサポートがされなくなったMovable Type 3.33を、最新のMT 6.1に移行したかったのです。MT 6.1をサーバーにFTPして起動すればそのままデータベースが変換されるつもりが、これに失敗。スクリプトが途中で停止する現象が起きました。MT 3.33の時にはブログフォルダーの下にmt-staticフォルダーをフォルダー名ごと転送して動かしていたのですが、MT 6.1はブログフォルダーにmt-staticの中身だけを転送しないと動かないようになっていました。これに気づくのに数時間格闘しました。
対処後、ついに管理画面が表示されるようになりましたが、ブログ一覧や記事一覧を表示するページで、リストの右上でくるくる回るアイコンが回りっぱなしで、一晩放置し、朝になっても回りっぱなしという現象が起きました。これも気づくのに数時間かかってしまいましたが、mt-staticフォルダーの中身を転送するときに、フォルダーに非常に多くのファイルがあるような状況でFTPソフトが不安定な状況になってしまい、途中までしか転送されていないのでした。FTPソフトを最新のバージョンに更新したらうまく転送してくれました。これでやっと右上のくるくるアイコンが1秒程度で消え、ブログ一覧や記事一覧が表示されるようになりました。[再構築]ボタンを押して正常動作。これで一旦はMT
6.1への移行が完了したかに見えました。
MT 6.1に移行したかったのにはもうひとつの理由があって、マルチブログにしたかったのです。マルチブログというのは、トップレベルに親ブログ(Movable Typeの場合はウェッブサイトと呼ぶ)を作成し、その配下に複数のブログを作成し、連携をするというものです。たとえば、親に、従来HTMLエディタで作っていたトップのページをブログとして作成し、その下に子ブログとして「天体観測」、「虫の写真」、「電子工作」等作り、子のブログを更新しても親ブログの新着記事欄に案内が表示されるようにして、トップレベルのページ(本来のホームページ)を各ブログへのポータルサイトにしたかったのです。
Movable Typeにはマルチブログ用のテンプレートがあります。それを解読しながら、自分のサイトに合うようにつくりかえました。デザインも従来のものを引き継ぎたかったので複雑なスタイルシートを慎重に変更しながら作業を進めました。
ところが、先に書いた、ブログ一覧等が表示される直前に右上に表示されるくるくるアイコンがまた消えなくなったのです。何十分待ってもダメ。なにか悪い操作をしたのかなと考えても心当たりはありません。
しかたないので、MySqlのデータベースをすべて削除し、mt.cgiを実行。すると、データベースの作成や、各種フォルダーが正常に作成されているようにメッセージが流れたのですが、完了した後に表示されるログイン画面が表示されません。何十分待ってもそのままで、停止してしまいました。
何度やっても同じ。
データベースの内容が破損したわけじゃないと判断し、ブログフォルダーにあるmt-staticの内容をすべて削除してやり直してみたのですが、それでも同じ現象です。
もう残るは、cgiを入れているフォルダーです。つまり、mt-static以外のすべてのファイルを転送しているフォルダー。これをすべて削除してからFTPをやり直してみました。
すると、正常に再構築され。MTへのログイン画面が表示され、例のくるくるアイコンも1秒程度で消え、各種一覧が表示されるようになりました。
これらのことから、cgiフォルダーの中の何かが破損するとくるくるアイコンが消えなくなるのだろうと考えました。
原因を追究する時間がなかったので、マルチブログ化の方を急ぎました。
5つの子ブログを作成し、親のページにMTテンプレートタグをいくつか打ち込み、ブログ別の新着情報が親ブログに表示されるようになりました。これでニュースサイトと似たような構造ができあがり、徐々に達成感がわいてきました。
ですが、ちょっとデザインを変更するたびに親や、5つの子ブログのテンプレートを修正するのはちょっと負担が大きいなと思いました。調べてみると、グローバルテンプレートという機能があることがわかりました。これはすべての子ブログに共通するテンプレートをグローバルテンプレートとして作成しておくと、子ブログに同じ名前のテンプレートが無ければ、グローバルテンプレートが使われるというものです。これは便利な機能なので使わない手はありません。時間をかけて、すべてのテンプレートをグローバルテンプレートに移し替えました。
さっそく再構築してみるとバッチリです。2週間苦労した甲斐がありました。一区切りついたところでバックアップです。世の中何があるかわかりません。バックアップはできるだけ頻繁に取るようにしています。バックアップも正常に動き、中身をチェックしてみると大丈夫な感じです。
ここで、記念に新しい記事を書こうと、記事一覧を表示させようとしました。ところが再び、じゃなかった4回目くらいのくるくるアイコン再・再・再・再発です(1回は自然復旧した)。MT 6と格闘することすでに2週間をこえていました。疲れ切っている所にまたまたまたまたくるくるアイコンです。
ネットで何度検索しても解決の糸口は見つかりませんでした。
データベースを削除し、すべてインストールしなおすしかない状況です。
毎回こんなことやって復旧させるのはもういやだなと思ったのですが、せっかくここまで頑張ってやってきたのだからという思いが、「普段は投稿するときに記事一覧を表示させるだけだからくるくるアイコンに遭遇する回数はあまりないはず」という根拠のない期待が問題解決を遅らせます。
何度目かのFTP転送がやっと終わり、ログインに成功し、くるくるアイコンも消え、再インストールが成功しました。あとはバックアップからテンプレートと記事をリカバリーするだけです。「グローバルテンプレートを上書きする」のチェックボタンをクリックし、リカバリーを行いました。正常終了し、やれやれです。
ここでテスト記事を投稿してみました。
ところが、変なエラーが出て再構築が失敗します。テンプレートがありませんとかっていうエラーです。これまでリカバリーは何度もやってきましたが、このようなことは一度もありませんでした。ただし、今回のバックアップは、グローバルテンプレート化した直後に取ったものです。
テンプレート一覧を表示させてみると、グローバルテンプレートが標準のもの以外は無くなっていました。つまり、グローバルテンプレートがリカバリーされなかったのです。バックアップファイルはXMLで記述されているのでテキストエディタで表示させてみたのですが、グローバルテンプレートは正常にバックアップされているように見えました(細かいパラメータは理解していませんが)。これもネットで調べてみたのですが、このような事例は見つかりませんでした。
開発元に問い合わせたかったのですが、なんといっても「無料版」です。サポートはありません。でもバグだったら開発元がすぐに修正版を出すだろうと思ってサイトをチェックするも修正版は無し。ネットにも情報がないということで、ついに行き詰ってしまいました。
― さようならMovable Type、こんにちはWordPress ―
そういえば、2~3年前から大きな書店のブログコーナーに行っても、Movable Typeの本が1冊も無くて、WordPressの本が50冊くらい並ぶようになりました。Movable Typeは主流だとずっと思っていたし、Amazonでは売られているので、書店の人が知らないだけなんだと思ってこれまで調べたりはしませんでした。
実際には私がMovable Typeでブログを構築したころにWordPressのシェアが逆転していたようです。その後はさらに差がつき、10年が経過した今ではその差が書店の様子に現れたということのようです。
ここに至って、やっとWordPressってどんなの?って本気で調べることになりました。WordPressがオープンソースで無料で使えるものだということすら知りませんでした。また、静的生成の機能は無く、動的生成だけであることも少し驚きました。動的生成はサーバーへの負担がかなり重くなるはずなので、サーバー管理会社に嫌われるだろうと思ってMovable Typeでも静的生成の機能しか使ってこなかったのです。WordPressはブログシステムのほとんどのシェアを持っているということは、ウェッブサイトのほとんどは動的生成で動いているということになります。サーバーがよく耐えられるなと思ったのですが、いまはメモリーが安価なので、メモリーをフル実装し、ほとんどオンメモリーで効率的に動いているのでしょうね。
さて、そのWordPress、本も読まずにネットの情報だけでマルチブログにするための設定を行ってみたのですが、いくつか苦労したものの、ネットに豊富な情報があり、休日の一日で完了しました。心配だったのがMovable Type 3.33でバックアップした、記事がWordPressに読み込めるのだろうかということでしたが、これもネットに豊富な情報があり、「Movable Type and TypePad Importer」というプラグインをインストールするだけで読み込むことができました。プラグインの開発者に感謝です。
その後は数日かけて自分のイメージに近いデザインテンプレートを800個の中から最終的に2つに絞り込みました。これが時間がかかりましたがビールを飲みながらの楽しい作業でした。デザインは2つ作り、ひとつはこれまでの配色と看板のアイコンを引き継いだものに、もうひとつはテンプレートを大きくは変更せず、プラグインの追加でイメージに近づけたものを作りました。
どちらにしようかと散々迷ったのですが、思い切ってイメージチェンジをしました。まあ、記事の内容はこれまでと同じなので、ブログの価値が上がるわけではないのですが….。
この3週間長かったです。この記事を最後まで読んでくださった皆さんも「ほんとうに長い!」と思われたでしょうね。もちろん、記事が無駄に長いという意味になろうと思います。
まあ、そこはWordPressデビュー記念号ということでお許しいただければ幸いです。
本当はWordPressを使っての感想など書きたかったのですが、すでに400字詰原稿用紙換算で10枚を超えていますので、この辺で強制終了させていただきます。
最後に、10年間も無料で使わせて下さったMovable Typeの開発元であるシックス・アパート株式会社に感謝いたします。
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.