触覚銀河NGC 4038+4039を撮りました

 二つの巨大な銀河が衝突した後、離れようとしている現場を撮影しました。
 この衝突銀河はおとめ座のすぐ南のからす座の方向6400万光年の距離にあります。10.7等程度ですので、たいへん暗く、肉眼で見ることはできません。芸西天文台の70cm反射望遠鏡を使っても、なにかぼ~っとしたものがあるような、ないような…、という感じで、一般の人がいきなり眺めても感動するような見え方ではありません。ですが、デジカメや冷却CCDカメラで長時間露出すると見事な姿が浮かび上がってきます。


星図


 からす座というと少し南に低い星座なので、一番南に高く昇ったところを狙って撮影してみました。春にしては黄砂が少なくよく澄んだ空だったので長く伸びた触覚のように見える部分を先まで写すことができました。この触覚のような部分は特に暗いので、大きな望遠鏡を使っても空の明るさに埋もれて意外と写らないのです。
 二つの銀河が衝突して離れようとしている時に、お互いの銀河の一部が引きちぎられて2本の尾のようになっています。銀河から離脱してしまった星の集団はその周囲にちらばってしまうのか、はたまた新たな集団を形成するのか。興味深いことが多いです。


NGC 4038+4039(触覚銀河)
2015年5月21日21時ころ撮影
70cm F7反射望遠鏡 + STX-16803E
10分露出の3枚をコンポジット
© 2015 芸西天文学習館


 画像の中に3本くらいの線が写っていますが、これは人工衛星が横切ったものです。撮影したのが日没からまだ2時間しかたってなかったので、高高度を飛ぶ人工衛星に太陽光が反射して写るのです。
 人工衛星の光を避けるには深夜0時に近いほど良いのですが、この銀河が南に高く昇る時刻を考えると真冬の激寒に耐えながら撮らなければなりません。次の冬には気合を入れて、カラーで撮ってみようと思いますのでお楽しみに。

 なお、以前触覚銀河をカラーで撮った記事で、望遠鏡に強烈な迷光が入るのできれいな写真が撮れないということを書きましたが、今年になって望遠鏡が改良され、上記の画像のように迷光は全く出なくなったことを報告させていただきます。



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