見失われた彗星 D/1819 W1 (Blanpain) の再発見か!?

 見失われた彗星 D/1819 W1 (Blanpain) と小惑星 2003 WY25 が同一の天体ではないかとの情報が入りました。Blanpain彗星は1819年12月から1820年1月までのわずか1ヶ月間だけ観測され、その後は軌道が計算されながらも再観測されることがありませんでした。この彗星と、2003年に発見された小惑星 2003 WY25 が同一の天体ではないかというのです。
 これは二つの天体の軌道要素が似ていることにイタリアの天文家が気づいたものです。
 しかし、二つの天体の連結軌道を計算するのは手間がかかります。小惑星 2003 WY25 の観測データは簡単に入手できますし、大変正確な位置が測定されているのでなにも問題は無いのですが、問題は P/1819 W1 (Blanpain) 彗星の観測データです。1819年ころは冷却CCDカメラは当然あるはずもなく、天体写真すら撮れなかった時代です。その観測データは公表されてなくて(?)軌道要素のみ公開されています。しかもその軌道要素もかなり大まかな測定位置からのものなのでどこまで信用できるのか?とにかく、軌道要素から観測データを2, 3ヶ月分擬似的に作成して、2003 WY25の観測データとの連結軌道を計算するしかなさそうです。
 早朝に届いた中野主一さん(軌道計算の第一人者)からのメールによると、どうも2つの天体の観測データをある程度の精度で結ぶ軌道(連結軌道)が計算できたとのことです。何といっても1819年という大昔の精度の悪いデータとのリンクで、しかも、木星の大重力圏に数回突入していて軌道が大きく変化していることが、いっそう計算を困難にしているようです。
 この2つの天体が同一であると結論が出た場合、天体名はどうなるのでしょうか? P/1819 W1 (Blanpain) となるのか。それとも小惑星 2003 WY25を独立発見したCatalina Sky Surveyの名前が付加されるのか。
 (この話題は明日に続きます)



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