70cm望遠鏡の一般公開開始

 5月21日、芸西天文学習館が半年振りに一般公開を再開しました。望遠鏡を最新鋭の70cm反射望遠鏡にパワーアップして最初の一般公開です。オープニング記念講演として、国立天文台石垣島天文台副台長の宮地竹史先生(高知県出身)によるお話がありました。

40席が満席の記念講演会

 演題は「宇宙を見ること考えること」。大型スクリーンに豊富な図や写真などが投影されながら1時間ほどのお話でした。宇宙の構造の話、光学観測と電波観測の話、宮地先生の専門である電波望遠鏡を使った大規模なプロジェクトである、VERA(VLBI技術による電波位置天文学の探究)の紹介とこれまでの成果、そして目標とするものなどが語られました。特に感動的だったのは石垣島に天文台ができるまでに、市民や学生などが何度も却下されながらもそれでもあきらめずにいろいろな手を使って、ついに国立天文台と石垣市の合同出資によって完成にこぎつけるという話です。また石垣島にある電波望遠鏡を使った学生参加の観測実習で本当に新しい電波天体を発見してしまい、日本天文学会のジュニアセッションで発表することができた話などは、今後の芸西天文学習館での活動のために参考になりました。
この大型スクリーンに投影しながら講演されました

 宮地先生のお話は19時30分ころに終わり、その後は関勉講師が司会をしながら、石垣島天文台を訪問したときの思い出話や、一般の人が宮地先生へ質問などしました。空は薄い雲が満遍なくかかっていて晴れる気配がないので、宮地先生と関講師が予定より多めにお話をされたようです。
 私はその途中でドームの方に呼ばれて行ってみると、テレビカメラや記者など報道陣がいて望遠鏡の専門的なことを質問されたので30分くらいいろいろ解説しました。
 そのうち一般の人がガヤガヤとやってきたのですが、雲がかかっているので望遠鏡の説明しかできないなあと思っていました。接眼レンズを覗き込んで目を凝らしても何の光も見えず。「な~んにも見えませんねえ~」なんて残念そうに言ってましたが、ふと、もしかしたらピントを正確に合わせたら見えるかもしれないと思いました。とは言っても天体が見えないのでピントの合わせようがありません。しかし、NHKのナマ放送のときに学んだ手法が役に立ちました。22mmの接眼レンズを装着したときの副鏡の位置は-17.2mm前後だったのです。(この望遠鏡は副鏡の位置を移動させることでピントを合わせます)。コンピュータを操作して副鏡の位置を-17.2mmまで移動させてみました。接眼レンズを覗き込んでいると副鏡がその位置にゆっくりと近づくにつれて中央部にわずかな光が見えてきました。70cmの大きな鏡は、雲でさえぎられた土星のわずかな光をかき集めて、暗いながらも美しい姿を映し出しました。「この望遠鏡は雲があっても土星が見える」という別の感動を与えました。いつもは揺らいでいる土星がこの日はピタリとみごとに静止していて、もし晴れていたらすばらしい姿で見られただろうと少し残念でした。しかし、望遠鏡で初めて土星を見た人は大変感動したようです。
 気流の揺らぎが少なかったのは、ついさきごろ望遠鏡本体に付けた4つの扇風機の効果もあると思います。

当日の様子

 こんな感じで一般公開初日は終わりました。

 一般の人が帰った後、講師陣は残って望遠鏡やコンピュータを操作したり、エラーが発生したときの復旧手順を確認し合ったりして、23時30分ころ学習館を後にしました。

 さあ、6月から本格的に一般公開が開催されます。ほぼ毎週のように計画されていますので、どんどんお申し込みください(参加費は無料です)。
 学生が夏休みの期間は毎回満席になりますが、それ以外の期間は余裕があります。人数が少ない時は思う存分ポータブルデジカメや携帯電話のカメラで惑星のコリメート撮影などお楽しみいただけます。また、リクエストにお答えして予定外の天体もごらん頂くことができます。
 詳しくは高知文教協会の芸西天文学習館のウェッブページをご覧ください。



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