P/1896 R2 = 2008 R6 (GIACOBINI)

 9月10日に板垣さんと金田さんがジャコビニ彗星を再発見したわけですが、実はこれより2ヶ月早い7月13日に私もこの彗星を芸西天文台で捜索していました。この時期は芸西天文台の3人チーム(関勉さん、村岡健治さん、私)で本格的に観測を始めようと最終的な調整をしていたころで、私は軌道が計算された移動天体を捜索するためには、コンピュータにどのようにデータを設定すると捜索しやすいのかをいろいろ試していたのです。ですから、”捜索”とはちょっとちがうかもしれません。
 芸西の観測設備は視野が横方向(長い辺)が27分角程度なので捜索用としては不向きなほど視野が狭いです。ですから、天体がありそうな範囲を写すためにはモザイク状に10箇所とか30箇所とか写さないといけません。しかも同じところを最低3枚は写さないと移動していることが確認できませんので、撮影枚数はかなり多くなります。しかも暗い天体であることがわかっていると、露出時間は1枚あたり10分を要するので1夜ではカバーし切れません。本格的に捜索しようとするとこのような大変な作業が必要ですが、まあこの時は練習だったので、村岡さんが軌道計算した予測位置から0.3日間隔で近日点をマイナス方向にずらしながら-1.2日まで5箇所を3枚ずつ、各10分露出で写しました。
 っで、板垣さんと金田さんが見つけた位置を調べたらビックリ。なんと近日点が村岡さんが計算した位置からプラス側にわずか0.3日の位置でした!マイナス側ばかり捜索せずにプラス側に1画面分でも写していれば、「発見できた」とは言わないまでも、貴重なデータが得られたと思われます。
 軌道計算の精度が極めて高かっただけに発見につなげられなくて誠に残念でした。



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