せっかくの長時間露出でしたが

 たまには銀河を気合い入れて撮ってみようと思いました。
 ちょうどカラス座にある衝突銀河が昇ってきたので望遠鏡を向けてみました。この銀河は南に低いので大気の乱れの影響を強く受けてしまいます。非常に安定した日じゃないと綺麗にはとれません。
 10分露出を10枚撮ってみましたが、1枚は雲が出たのでボツです。それらの画像9枚をコンポジット(重ね合わせてみました)。コンポジットすることで1枚の画像に比べてはるかに美しい画像になるんです。また1枚画像ではわからないような暗い天体が綺麗に浮かび上がってきます。
 この夜は透明度が悪く、気流も悪かったので銀河から長く伸びた触角の部分は写らないだろうと思いましたが、わずかに写っています。
 1枚画像だと何等まで写っているのか調べると17.9等まで写っていました。9枚コンポジットした画像には18.7等まで写っていました。限界光度が0.8等向上したので、コンポジットの効果は絶大です。


NGC 4038 + NGC4039
触角銀河
芸西天文学習館(芸西天文台)
70cm反射望遠鏡 + Nikon D700
10分露出を9枚撮像し、コンポジット

 上の画像は中央部分の綺麗な部分のみにトリミングしていますが、望遠鏡に入ってきた明るい恒星の光がどこかに反射して青白い光線が画面のどこかに写ってしまいます。これはまだ薄い方で、多くはもっと強烈な光としてかぶさってきます。彗星の位置測定にはあまり影響はありませんが、本当に暗い天体を観測するときにはこの光のせいで検出できないことも多いです。
 上の画像も100分もの長時間撮像を続けて作成した画像ですが、画像処理してみるとやはり迷光に覆われていて、努力が台無しです。寒さに震えながら眠いのも我慢して長時間がんばったのに、こんな画像ばかりでは泣きたくなります。実際には周辺部はもっと醜いことになっています。
 芸西天文台の望遠鏡は2008年4月に高知県に納品されたのですが、あれから2年たった今でも公開できるような画像が撮れるようにはなっていません。メーカーは改良しますと言ってくれていますが(それだけが心の支え)、いつになることか、かなり不安になっています。
 このような大型の望遠鏡はすべて特注なわけで、納品直後から何の問題もない望遠鏡はないと思います。とは言っても、2年経過して改良されないのは、観測者にとってかなりの苦痛を伴うものです。
 どうか観測者の気持ちを理解していただき、少しでも早い改修をお願いしたいと思います。



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