11月5日の朝、久しぶりに大きなニュースが飛び込んできました。
池谷・関彗星や池谷・チャン彗星の発見者として知られる静岡県の池谷薫さんと、シュナイダー・村上彗星の発見者として知られる新潟県の村上茂樹さんが、明け方の東の低空に8等前後の彗星を眼視捜索で発見したというものです。池谷さんが発見したのは11月3日の明け方で、村上さんが発見したのは11月4日の明け方でした。この時点では池谷さんがすでに発見していたことは村上さんにはとうぜん知らされておらず、国際天文電報中央局の関係者のみが知っていました。直ちにほんの少数の信頼されている観測者に確認観測の依頼がされたようです。
11月5日、何通かの見慣れない彗星名のタイトルがついたメールが届いていました。5時57分に佐藤裕久さんから「C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)」というタイトルのメールがあり、門田健一さんが観測したデータを加えて軌道計算したデータが送られてきていました。なんじゃその彗星名は?ミスタイプかななんて思っていたんですが、どうもメールが騒がしい….。6時35分には高橋俊幸さんから「池谷-村上彗星(C/2010
V1)の観測です。 D95」というメールが届き、精密位置測定のデータが3観測届いていました。その直後には張替憲さんからも「2010 V1 池谷・村上彗星」というタイトルで観測のコメントが届き、張替さんのブログに2010年11月5日付ですでに撮像した画像が掲載されていました。6時53分には再び佐藤裕久さんが眼視観測したデータが届いており、コマ視直径が3.5’で光度が8.2等とその他詳細なデータが知らされていました。7時20分には宇都宮章吾さん(3個の彗星発見者)からも眼視観測データが届いていました。さらにその後、大島雄二さんからも4個の精密位置測定データが届いており、芸西天文台の関勉さんからも観測の様子が届いていました。これら以外にも10件を超えるメールが届いており、中には、「急遽有給休暇をとって測定している」というメールまであり、興奮の様子が伝わってきました。
この"お祭り騒ぎ"の中、私は何をやっていたかと言うと、メール遮断してくすぶっていました。公私ともにあまりにも忙しく気が狂いそうになってきたので3日間くらいメールを開いていなかったんです。
私がくすぶっているうちにこんなお祭り騒ぎになっているなんて….。
もう、ひきこもりたい気分です。
せめて一枚だけでも撮像しておきたいと思っているのですが、曇ったり雨が降ったりとぜんぜん縁がありません。
この彗星は短周期彗星の可能性が指摘されています。もしそうだとすると、これまで暗くて観測できなかったものが、突然、彗星核にひびでも入って内容物が噴出して明るくなっている可能性があります。
下の画像はその池谷・村上彗星です。関勉さんが芸西天文台で撮像されたものです。画像処理は私がやりました。右上(西北西)に向けて白く細い尾が延びています。それを囲うように白く太い尾(コマ?)があります。さらに二倍ほど広い範囲に薄緑色のコマが広がっているのがわかります。
2007年10月から12月にかけて突然大きく明るくなったホームズ彗星にそっくりですね。
C/2010 V1 (Ikeya-Murakami)
池谷・村上彗星
芸西天文台・関勉氏撮影
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静岡大学人工衛星STARSプロジェクトを技術面で応援しています。芸西天文台(高知県立芸西天文学習館)で天体観測。小惑星2個発見。一般公開では星空案内も。彗星軌道計算ソフトOrbitLife公開中。流星自動観測/ラズパイ/電子工作/2アマ/PENTAX/ドローン。MPC Obs Code D70.