V838 Monが12.2等に増光しています

 オリオン座が見やすい季節になりました。深夜0時をすぎるとオリオン座やいっかくじゅう座が最も高い位置に昇ってきます。この冬も恒例のいっかくじゅう座の特異変光星V838
Monを観測してみました。
 下の画像は芸西天文台の70cm反射望遠鏡を使って、15秒露出した画像です。中央の矢印の先にある一番明るい星がそれです。

 この画像からV838 Monの明るさを測定してみました。下の画像は測定中の画面です。
 明るさは12.2等と出ました。そこで「あれ?明るすぎる」と思ってパラメータを変更して測定してみましたが、やはり同じ12.2等と出ました。


画像をクリックすると原寸大画像が表示されます

V838 Monを測定中の画像

 下のデータがこれまでの約10年の光度変化です。

2002年1月以前 16.7等程度の星だったらしい
2002年1月10日頃 10等台への増光が発見された
2002年2月8日頃 6.7等まで急増光
(ここから自分で観測開始)
2003年11月30日 11.1等(20cm Sct + BITRAN BT-10)
2004年12月13日 11.3等(20cm Sct + BITRAN BT-10)
2006年10月26日 12.0等(20cm Sct + BITRAN BT-10)
2007年11月 4日 12.1等(20cm Sct + BITRAN BT-10)
2008年11月26日 14.6等(70cm 反射 + SBIG STL-11000M)
2009年11月15日 14.7等(70cm 反射 + Nikon D700)
2011年 1月 1日 12.2等(70cm 反射 + CCD)

 2002年の急激な増光以来、ゆっくりと暗くなっていたのですが、今回の観測で12.2等まで増光していることがわかりました。1年前に比べて約10倍に明るくなっています。もとの16等級まで暗くなるのかなと思っていたのですが、そう単純ではない感じになってきました。このあとどのように光度変化するのかまったく予想がつかないだけに、興味深くなってきました。みなさんも時々観測してみてください。
 また、この恒星を囲うように存在していた反射星雲はもう写らなくなっています。下の画像は芸西天文台の70cm反射望遠鏡で10分間露出をかけた画像をさらに強い画像処理をしてごく淡い星雲を検出しようとしたものですが、それらしいものは浮かび上がってきませんでした。


V838 Monを取り巻く反射星雲の様子
19.5等までの恒星は写っているが、反射星雲は写らなかった

 恒星が10等級くらいまで増光してくれると、再び星雲も見られるようになるかもしれません。今後も観測は続きます。
 これまでのV838 Monの記事は「V838 Mon(いっかくじゅう座特異変光星)カテゴリー」をご覧ください。



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