2011年最初の彗星が発見されました

 1月12日の昼、今年最初の彗星発見情報が届きました。
 彗星名はP/2011 A1 (Larson)となりました。発見の第一報で、すでに周期彗星の符号がついています。
 私も早速軌道を計算してみました。軌道図を下に示します。

 現在のところ7年ちょっとという、かなり短い周期の彗星の軌道が計算できます。火星と木星の間にあって地球の軌道に対して13度程度傾いています。彗星の軌道と言うより、少しずれた小惑星の軌道という感じですね。
 さっそく観測をしなければと思ったのですが、星図上での位置を調べると、しし座の北の方で、深夜2時になると天頂付近(高度70度近く)を通過する位置です。高い所を通過する良い位置なのですが、発見時の光度は19.0等と非常に暗いので、私が観測をしている23時くらいまでには写せそうにありません。日曜日の明け方コースで観測しようかと考えていました。
 しかし、発見が伝えられた日の夜、さっそく関勉先生が芸西天文台で観測されていて、メモリーを私の会社までわざわざ届けてくださいました。
 その画像を下に掲載します。画像処理は私が行いました。中央部をトリミングしています。

[P/2011 A1 (Larson)]
P/2011 A1 (Larson)
2011年1月13日 2時(J.S.T)から
芸西天文学習館 70cm反射望遠鏡
撮像:関勉氏

 上の画像は10分露出の画像4枚を彗星の移動に合わせてコンポジットしたもの(重ね合わせたもの)です。光度は19.3等と非常に暗いので、彗星の尾はよくわかりません。
 彗星と言うと、青白くて、雄大な尾をたなびかせて広い空をゆっくり移動している姿を想像しますが、実は私たちが観測している多くの彗星は上の画像のように貧弱なイメージなのです。こんな貧弱な天体ですが、追跡を続けるにしたがってその軌道が徐々に正確になっていきます。正確な軌道が判明してくると、今度はなぜそんな軌道になったのだろうと次の興味がわいてきます。そうなると今度は如何に精密な軌道計算を行うかということになります。
 今年も、観測と軌道計算で宇宙を追求するという贅沢な活動が幕開けしました!



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